悪性リンパ腫に対するR-CHOP療法クリニカルパスの後方視的検討による改訂

「要旨」 目的: R-CHOP療法はB細胞性非ポジキンリンパ腫の代表的な初回化学療法のレジメンである. 今回, R-CHOP療法クリニカルパス(以下パス)を適用した患者を後方視的に解析することによって, パス改訂を行った. 方法: 2019年12月~2022年6月にB細胞性非ポジキンリンパ腫に対し, R-CHOP療法パスを適用した患者18名(計100コース)を対象として, パスに関連する諸因子について統計学的に解析した. 結果: 入院期間については, G-CSFを投与した73コース中62コース(85%)がパスで設定された19日以内で退院していた. 発熱性好中球減少症(FN)を来したコースでは,...

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Published in日本クリニカルパス学会誌 Vol. 26; no. 4; pp. 349 - 356
Main Authors 松本洋典, 清水美紀子, 糸井明, 舩越真理, 峯松あかね, 後藤理世, 藤野愛, 平田捷, 安堂智香子, 内山人二, 谷口史洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本クリニカルパス学会 24.09.2024
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ISSN2187-6592

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Summary:「要旨」 目的: R-CHOP療法はB細胞性非ポジキンリンパ腫の代表的な初回化学療法のレジメンである. 今回, R-CHOP療法クリニカルパス(以下パス)を適用した患者を後方視的に解析することによって, パス改訂を行った. 方法: 2019年12月~2022年6月にB細胞性非ポジキンリンパ腫に対し, R-CHOP療法パスを適用した患者18名(計100コース)を対象として, パスに関連する諸因子について統計学的に解析した. 結果: 入院期間については, G-CSFを投与した73コース中62コース(85%)がパスで設定された19日以内で退院していた. 発熱性好中球減少症(FN)を来したコースでは, 化学療法開始前日からの入院期間が長かった(p=0.002). 支持療法との関連では, FNを合併した患者はいずれも65歳以上であったが, ペグフィルグラスチムの予防投与を行ったコースではFNは認めなかった. アプレピタント投与と化学療法後の悪心, 嘔吐の発症との間に関連は認めなかった(p=0.0984). 栄養状態については, 化学療法後にBMIや血清アルブミン値の低下, 食欲不振を認めたが, 栄養指導を施行していたのは1名のみであった. 考察: 以上の結果から, (1)入院期間はDPC改定をふまえ18日に設定する, (2)65歳以上でペグフィルグラスチムの一次予防投与を推奨する, (3)栄養指導をパスに組み込み, 栄養介入を積極的に行う, と改訂した. アプレピタントについては本研究では投与の是非を結論付けることはできないため, ガイドラインを遵守した投与を継続することとした.
ISSN:2187-6592