フラグメント解析によるCALR遺伝子変異検出の性能評価と変異アリル頻度測定に関する検討

「要旨」Calreticulin遺伝子 (CALR) 変異は, 本態性血小板血症, 原発性骨髄線維症において, Janus kinase 2遺伝子 (JAK2) V617F変異に次いで多く認められる遺伝子変異である. 本遺伝子変異の検出は, これらの疾患の確定診断に重要なだけでなく, 変異の種類から病型や予後の予測に利用できる. 今回, フラグメント解析によるCALR遺伝子変異検出の性能評価と変異アリル頻度測定の有用性の探索を目的に検討を行った. フラグメント解析では, type2変異は実際の変異アリル頻度と近い変異アリル頻度を算出することができたのに対し, type1変異は実際の変異アリル頻...

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Published in医学検査 Vol. 72; no. 2; pp. 182 - 190
Main Authors 根岸達哉, 重藤翔平, 松田和之, 宮崎あかり, 紺野沙織, 仁科さやか, 中澤英之, 上原剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床衛生検査技師会 25.04.2023
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ISSN0915-8669

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Summary:「要旨」Calreticulin遺伝子 (CALR) 変異は, 本態性血小板血症, 原発性骨髄線維症において, Janus kinase 2遺伝子 (JAK2) V617F変異に次いで多く認められる遺伝子変異である. 本遺伝子変異の検出は, これらの疾患の確定診断に重要なだけでなく, 変異の種類から病型や予後の予測に利用できる. 今回, フラグメント解析によるCALR遺伝子変異検出の性能評価と変異アリル頻度測定の有用性の探索を目的に検討を行った. フラグメント解析では, type2変異は実際の変異アリル頻度と近い変異アリル頻度を算出することができたのに対し, type1変異は実際の変異アリル頻度よりも測定値が大きく算出された. フラグメント解析における検出限界は, type1変異で変異アリル頻度3%%, type2変異で4%であり, 日常検査に際し十分な性能を有していた. 本態性血小板血症, 原発性骨髄線維症23症例の解析では, type1変異が14例, type2変異が4例, その他の変異が5例認められ, フラグメント解析はこれら全ての変異を検出できた. フラグメント解析はtype1変異, type2変異以外の変異も感度良く検出が可能であり, 日常検査ではスクリーニング検査として有用と考えられた. また, type1変異を有する本態性血小板血症13例の変異アリル頻度は白血球数, 血小板数と正の相関, ヘモグロビン濃度と負の相関が認められ, 変異アリル頻度がこれらの項目に影響している可能性が考えられた.
ISSN:0915-8669