高齢者での外来性再燃が確定できた老人福祉施設における結核集団感染事例の検討

「要旨」 : 〔目的〕老人福祉施設で拡大した64例の結核集団感染事例について報告した. 〔対象と方法〕老人福祉施設での64例の結核集団感染事例について, 発見までの経過と縦列反復配列多型 (VNTR) 解析および薬剤感受性試験の結果を検討した. また胸部CTで結核による陳旧性病巣が存在するかについても検討した. 〔結果〕元患者は, 誤嚥性肺炎反復症例で受診の遅れは0日, 診断の遅れは267日であった. 接触者検診の結果29人の発病者, 35名の潜在性結核感染が発見された. 結核菌が培養された15例においてVNTRと薬剤感受性試験の結果が同じパターンを示した. 胸部CTでは元患者を除いて, 8例...

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Published in結核 Vol. 91; no. 4; pp. 451 - 455
Main Authors 岩本信一, 矢野修一, 西川恵美子, 多田光宏, 門脇徹, 木村雅広, 小林賀奈子, 池田敏和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.04.2016
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 〔目的〕老人福祉施設で拡大した64例の結核集団感染事例について報告した. 〔対象と方法〕老人福祉施設での64例の結核集団感染事例について, 発見までの経過と縦列反復配列多型 (VNTR) 解析および薬剤感受性試験の結果を検討した. また胸部CTで結核による陳旧性病巣が存在するかについても検討した. 〔結果〕元患者は, 誤嚥性肺炎反復症例で受診の遅れは0日, 診断の遅れは267日であった. 接触者検診の結果29人の発病者, 35名の潜在性結核感染が発見された. 結核菌が培養された15例においてVNTRと薬剤感受性試験の結果が同じパターンを示した. 胸部CTでは元患者を除いて, 8例で陳旧性病巣を認めた. 〔考察〕本事例はVNTRと薬剤感受性試験の結果から同一感染源からの外来性感染と確定した. 陳旧性病巣を認めた8例は81歳以上の高齢者で, 外来性再感染であると判断した. 高齢者においても結核再感染は普遍的に起こりうる可能性が示唆された.
ISSN:0022-9776