視床性失立症を認めた一例の立位障害の経過 - 立位バランス評価および重心動揺計を用いた検討

「要旨」: 症例は右側視床梗塞の80歳女性である. 神経症候は軽度の運動麻痺と軽度の感覚障害のみにも関わらず, 平行棒を用いても後方へ転倒し立位困難であった. 立位可能となったのは発症後3週であった. 発症後3週時点でのBerg Balance Scale(BBS)は9点と非常に低く, 重心動揺検査では, 静的バランス(重心動揺面積)の著明な障害を認めた. 約1カ月間, 立位バランス練習を主とした理学療法を実施した. その結果, 発症後7週時点で, BBSは39点とまだ低く, 静的バランス障害も残存した. 本症例の立位障害は視床性失立症と考えられ, この病態は静的バランス障害を基礎とし, 立位...

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Published in運動障害 Vol. 29; no. 2; pp. 63 - 68
Main Authors 林祐介, 吉原美帆, 吉田久雄, 見川彩子, 林明人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動障害研究会 15.12.2019
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ISSN0917-5601

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Summary:「要旨」: 症例は右側視床梗塞の80歳女性である. 神経症候は軽度の運動麻痺と軽度の感覚障害のみにも関わらず, 平行棒を用いても後方へ転倒し立位困難であった. 立位可能となったのは発症後3週であった. 発症後3週時点でのBerg Balance Scale(BBS)は9点と非常に低く, 重心動揺検査では, 静的バランス(重心動揺面積)の著明な障害を認めた. 約1カ月間, 立位バランス練習を主とした理学療法を実施した. その結果, 発症後7週時点で, BBSは39点とまだ低く, 静的バランス障害も残存した. 本症例の立位障害は視床性失立症と考えられ, この病態は静的バランス障害を基礎とし, 立位獲得後もバランス障害は残存する可能性がある.
ISSN:0917-5601