肺結核の治療経過中に白血球減少を呈し, 骨髄異形成症候群と診断した1例

「要旨」: 症例は84歳男性. 他院で食欲不振の精査目的に撮像したCTで両側多発肺結節ならびに浸潤影を認め, 喀痰検査でGaffky 1号, 結核菌群PCR陽性であったため, 肺結核の治療目的に当院へ紹介入院となった. 抗結核薬〔イソニアジド (INH), リファンピシン (RFP), エタンブトール (EB)〕で治療を開始したが, 第5病日より白血球減少が出現し, 低値が持続したため薬剤性血球減少を疑い, 第52病日に上記薬剤を中止した. しかし, 血球は回復せず第67病日に2剤併用療法〔EB, レボフロキサシン (LVFX)〕で治療再開するもさらに低下, 白血球数1200/μl, 好中球数...

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Published in結核 Vol. 93; no. 3; pp. 127 - 131
Main Authors 安部祐子, 倉原優, 石井誠剛, 露口一成, 鈴木克洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.03.2018
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 症例は84歳男性. 他院で食欲不振の精査目的に撮像したCTで両側多発肺結節ならびに浸潤影を認め, 喀痰検査でGaffky 1号, 結核菌群PCR陽性であったため, 肺結核の治療目的に当院へ紹介入院となった. 抗結核薬〔イソニアジド (INH), リファンピシン (RFP), エタンブトール (EB)〕で治療を開始したが, 第5病日より白血球減少が出現し, 低値が持続したため薬剤性血球減少を疑い, 第52病日に上記薬剤を中止した. しかし, 血球は回復せず第67病日に2剤併用療法〔EB, レボフロキサシン (LVFX)〕で治療再開するもさらに低下, 白血球数1200/μl, 好中球数600/μlまで低下した. 薬剤中止後も血球数が回復せず, 血液疾患の併発を考慮した. 退院後の骨髄検査により骨髄異形成症候群との診断に至った. 高齢者で結核の治療経過中に血球減少を呈した場合, 薬剤性のみならず血液疾患の合併を疑い, できるだけ早期に精査をする必要がある.
ISSN:0022-9776