子どもの自殺と自傷行為
近年, 青少年を中心にリストカットなどの自傷行為が問題化している. 自傷行為とは, 自殺以外の目的から, 非致死的な手段と非致死性の予測をもって, 故意に自らの身体に損傷を加える行為と定義され, しばしば不快感情への対処として繰り返される. このような自傷行為は自殺とは峻別される行動であり, 精神科医療および学校保健領域の援助者にとっては陰性感情を刺激される現象でもある. しかし, 自傷行為を繰り返す者の長期的な自殺死亡のリスクは高く, 長い時間をかけてさまざまな自己破壊的行動を発展させながら最終的に自殺既遂へと至る事例もあることを忘れてはならない. 本稿では, 青少年における自傷行為の理解と...
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Published in | 児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 56; no. 2; pp. 159 - 167 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本児童青年精神医学会
01.04.2015
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ISSN | 0289-0968 |
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Summary: | 近年, 青少年を中心にリストカットなどの自傷行為が問題化している. 自傷行為とは, 自殺以外の目的から, 非致死的な手段と非致死性の予測をもって, 故意に自らの身体に損傷を加える行為と定義され, しばしば不快感情への対処として繰り返される. このような自傷行為は自殺とは峻別される行動であり, 精神科医療および学校保健領域の援助者にとっては陰性感情を刺激される現象でもある. しかし, 自傷行為を繰り返す者の長期的な自殺死亡のリスクは高く, 長い時間をかけてさまざまな自己破壊的行動を発展させながら最終的に自殺既遂へと至る事例もあることを忘れてはならない. 本稿では, 青少年における自傷行為の理解と対応について概説するとともに, 自殺予防の観点から, 学校における予防教育のあり方について私見を述べた. 「I. はじめに」リストカットなどの非致死的な自傷行為は, いまや学校保健における主要な課題の一つとなっている. |
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ISSN: | 0289-0968 |