新鮮腰椎分離症の分離角度に影響する因子の検討
〔要旨〕腰椎分離症は腰椎伸展および回旋動作で腰椎関節突起間部に機械的なストレスを強く受けて発症すると考えられている. 腰椎分離角度 (以下, SFA) は腰椎伸展では水平断に近く, 腰椎回旋では矢状断に近くなると推察される. 本研究の目的はSFAに影響を与える因子を検討し, 明らかにすることである. 2015年3月から2020年3月の間に腰痛を主訴に当院を受診し, 新鮮腰椎分離症と診断されたもののうち片側例148例を対象とした. CT画像水平断にてSFAを計測し, 中央値 (19.1°) 以下の群を水平群, 中央値より大きい群を矢状群と分類した. 年齢, 性別, BMI, 体幹・下肢柔軟性 (...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 30; no. 1; pp. 185 - 190 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
31.01.2022
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ISSN | 1346-4159 |
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Summary: | 〔要旨〕腰椎分離症は腰椎伸展および回旋動作で腰椎関節突起間部に機械的なストレスを強く受けて発症すると考えられている. 腰椎分離角度 (以下, SFA) は腰椎伸展では水平断に近く, 腰椎回旋では矢状断に近くなると推察される. 本研究の目的はSFAに影響を与える因子を検討し, 明らかにすることである. 2015年3月から2020年3月の間に腰痛を主訴に当院を受診し, 新鮮腰椎分離症と診断されたもののうち片側例148例を対象とした. CT画像水平断にてSFAを計測し, 中央値 (19.1°) 以下の群を水平群, 中央値より大きい群を矢状群と分類した. 年齢, 性別, BMI, 体幹・下肢柔軟性 (以下, 柔軟性) , スポーツ種目について両群を比較検討した. 柔軟性は, 立位体前屈距離, 下肢伸展挙上角度, 踵殿部間距離, Thomas test, 股関節外旋可動域, 内旋可動域を計測した. 年齢, 性別, BMIは両群間で有意差は認められなかった. 柔軟性は各項目で両群間に有意差は認められなかった. スポーツ種目において陸上競技では水平群が有意に多く (P<0.05) , サッカーでは矢状群が有意に多かった (P<0.05) . 本研究の結果より, SFAに影響する因子としてスポーツ種目との関連がみられた. 腰椎分離症の発症を防ぐためには, 体幹・下肢の様々な部位の柔軟性を獲得, 維持することが重要であるが, スポーツ種目の特性により発症に影響を与える身体の部位は異なると考えられた. |
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ISSN: | 1346-4159 |