出血性貧血に対して含糖酸化鉄 (フェジン(R)) を投与したところ, 無症候性のFGF23関連低リン血症をきたした1例
【要旨】 含糖酸化鉄(以下SFO)投与の副作用として, 線維芽細胞増殖因子23(以下FGF23)関連低リン血症をきたすことが知られている. 症例は91歳の男性で, 膵頭部癌による閉塞性黄疸, 急性胆管炎および十二指腸潰瘍による出血性貧血で入院した. 貧血に対して, 輸血およびSFO投与を開始し, 貧血は緩やかに改善した. SFO投与開始29日目の定期の血液検査で血清リン濃度0.5mg/dLと著明な低リン血症を認め, 血清FGF23濃度は1,630pg/mLと高値であった. SFOによる低リン血症を考え投与を中止し, 段階的にリン補充ならびに活性型ビタミン製剤の投与を行ったところ, SFO投与中...
Saved in:
Published in | 日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 6; pp. 817 - 822 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床救急医学会
01.12.2021
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-0581 |
Cover
Summary: | 【要旨】 含糖酸化鉄(以下SFO)投与の副作用として, 線維芽細胞増殖因子23(以下FGF23)関連低リン血症をきたすことが知られている. 症例は91歳の男性で, 膵頭部癌による閉塞性黄疸, 急性胆管炎および十二指腸潰瘍による出血性貧血で入院した. 貧血に対して, 輸血およびSFO投与を開始し, 貧血は緩やかに改善した. SFO投与開始29日目の定期の血液検査で血清リン濃度0.5mg/dLと著明な低リン血症を認め, 血清FGF23濃度は1,630pg/mLと高値であった. SFOによる低リン血症を考え投与を中止し, 段階的にリン補充ならびに活性型ビタミン製剤の投与を行ったところ, SFO投与中止から30日目で低リン血症は正常化した. 貧血に対する急性期治療として輸血とともにSFOを投与する機会が多いが, 漫然とした長期投与は避け, 投与時には無症候であっても定期的な血清リン濃度の測定が望ましい. また骨軟化症様症状や低リン血症と遭遇した場合には本疾患も念頭に置く必要がある. |
---|---|
ISSN: | 1345-0581 |