70代健康男子の臥位運動負荷時循環特性
70代健常男7例において, 臥位運動に対する適応力, 心血管反応, 交感神経の果たす役割を検討した. 健常青年男20例を対照として比較に供した. 自転車エルゴメータを用い, 負荷は毎分50回転で25Wから開始し, 3分毎25W宛漸増負荷を all out に至るまで連続的に加えた. 安静時心拍数, 心係数, 一回拍出係数は両群間で有意差はなかった. 動脈圧は拡張期圧には差がなかったが, 収縮期圧, 脈圧は高齢群が高値であり, 大動脈弾性低下を反映した. 高齢群の最大負荷量平均は75Wで, 運動耐容能は青年群の1/2であった. 運動負荷量の漸増に伴い, 心拍数, 心拍出量は両群共に略直線的に増加...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 46 - 51 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.01.1983
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.20.46 |
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Summary: | 70代健常男7例において, 臥位運動に対する適応力, 心血管反応, 交感神経の果たす役割を検討した. 健常青年男20例を対照として比較に供した. 自転車エルゴメータを用い, 負荷は毎分50回転で25Wから開始し, 3分毎25W宛漸増負荷を all out に至るまで連続的に加えた. 安静時心拍数, 心係数, 一回拍出係数は両群間で有意差はなかった. 動脈圧は拡張期圧には差がなかったが, 収縮期圧, 脈圧は高齢群が高値であり, 大動脈弾性低下を反映した. 高齢群の最大負荷量平均は75Wで, 運動耐容能は青年群の1/2であった. 運動負荷量の漸増に伴い, 心拍数, 心拍出量は両群共に略直線的に増加した. 同一レベルの亜最大負荷量における心拍出量を比較すると両群同じであったが, 高齢群では心拍数増加度が大, 一回拍出量増加度が小であった. 一回拍出量は青年群では75Wまで漸増 (30%増加) 後略一定となったのに対し, 高齢群では25Wで安静値より11%増加したに過ぎなかった. この一回拍出量増加の機序は両群共に Frank-Starling 効果によるのではなく, 心収縮能の亢進に基因した. 動脈圧も負荷量と併行して上昇したが, 最大負荷時収縮期圧, 拡張期圧は共に高齢群が高値であった. 同じ拍出量下の末梢循環反応を両群で比較すると, 高齢群は末梢血管コンダクタンスの増加度が小, 平均動脈圧の上昇度が大であった. すなわち, 抵抗血管拡張能の低下による左室後負荷増大も運動中の一回拍出量増加を抑制する一因と解釈された. 安静時血漿ノルエピネフリン濃度 (NE) は高齢群が有意に高値で, 安静時已に交感神経機能亢進状態にあることを示した. また, 最大負荷時NEは両群同じレベルに上昇したが, 高齢群では最大心拍数, 最大一回拍出量が低値で, 交感神経活性に対する心反応性が低下していると考えられた. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.20.46 |