嚢胞内乳腺腫瘍と鑑別が困難であった澄明細胞汗腺腫の1例

症例は25歳の女性.平成12年春ごろより右腋窩に約lcm大の腫瘤を自覚し当科を受診.腋窩寄りの右乳房外上部領域に20×10mm大のやや柔らかい腫瘤を認め,頗膚はわずかに青色調であった.MMGでは円形,辺縁明瞭で内部に石灰化を伴わない腫瘤陰影を認めた. US, MRMでは嚢胞性病変を認めた.穿刺細胞診を行い乳管上皮様細胞が得られたため,副乳腺由来の嚢胞内腫瘍を疑い局所麻酔下にて切除生検を行った.切除標本は14×10mmの臨で,病理学的検索にて澄明細胞汗腺腫と診断した.澄明細胞汗腺腫はエクリン汗腺由来の澄明細胞が特徴的な上皮性腫瘍で,非常に稀な腫瘍であるとされる.本症例では発生部位が腋窩に近い右乳...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 3; pp. 571 - 574
Main Authors 小杉, 郁子, 辰澤, 敦司, 三浦, 将司, 今村, 好章, 笠原, 善郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.03.2002
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.63.571

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Summary:症例は25歳の女性.平成12年春ごろより右腋窩に約lcm大の腫瘤を自覚し当科を受診.腋窩寄りの右乳房外上部領域に20×10mm大のやや柔らかい腫瘤を認め,頗膚はわずかに青色調であった.MMGでは円形,辺縁明瞭で内部に石灰化を伴わない腫瘤陰影を認めた. US, MRMでは嚢胞性病変を認めた.穿刺細胞診を行い乳管上皮様細胞が得られたため,副乳腺由来の嚢胞内腫瘍を疑い局所麻酔下にて切除生検を行った.切除標本は14×10mmの臨で,病理学的検索にて澄明細胞汗腺腫と診断した.澄明細胞汗腺腫はエクリン汗腺由来の澄明細胞が特徴的な上皮性腫瘍で,非常に稀な腫瘍であるとされる.本症例では発生部位が腋窩に近い右乳房外上部領域であったことから嚢胞内乳腺腫瘍との鑑別が困難であった.その疫学がいまだ不明であることから,さらなる症例報告が待たれるところである.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.571