膝前十字靱帯再建術後のスポーツ復帰時における神経・筋協調性の評価, ならびに自覚症状との関連性 - silent periodを用いた検討
〔要旨〕膝前十字靱帯(ACL)再建術後のスポーツ復帰時では, 動作時の自覚的不安感や自覚的パフォーマンスレベルの低下を訴えるものがあり, これらは, 神経・筋協調性の低下に起因するとの仮説を立て, ACL再建術後, スポーツ復帰1か月時における神経・筋協調性をsilent period(SP)を用いて評価し, このSPと膝に対する自覚症状との関連性について検討した. 方法は, 光反応による片脚ジャンプを行い, 大腿直筋と大腿二頭筋のpre-motor time(PMT)とswitching silent period(SSP)を表面筋電図にて測定し, 患, 健側間の比較を行った. また, アン...
Saved in:
Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 27; no. 2; pp. 235 - 241 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
30.04.2019
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-4159 |
Cover
Loading…
Summary: | 〔要旨〕膝前十字靱帯(ACL)再建術後のスポーツ復帰時では, 動作時の自覚的不安感や自覚的パフォーマンスレベルの低下を訴えるものがあり, これらは, 神経・筋協調性の低下に起因するとの仮説を立て, ACL再建術後, スポーツ復帰1か月時における神経・筋協調性をsilent period(SP)を用いて評価し, このSPと膝に対する自覚症状との関連性について検討した. 方法は, 光反応による片脚ジャンプを行い, 大腿直筋と大腿二頭筋のpre-motor time(PMT)とswitching silent period(SSP)を表面筋電図にて測定し, 患, 健側間の比較を行った. また, アンケートで, スポーツ時の自覚的不安感, さらに, 受傷前との自覚的パフォーマンスレベルとの比較をし, 患健側比との相関を検討した. その結果, PMTは患, 健側間で有意差はなかった. 一方, SSPは, 患側が健側に比べて有意に延長していた. SSPの患健側比と自覚的不安感との間には強い相関を認めた. しかし, SSPの患健側比とパフォーマンスレベルとの間, また, 自覚的不安感と自覚的パフォーマンスレベル間での相関は弱かった. 以上のことから, ACL再建術後のスポーツ復帰1か月時においても神経・筋協調性は低下しており, 自覚症状としてカッティングやターンなどの動作時不安感がそれを最も強く反映していると考えた. |
---|---|
ISSN: | 1346-4159 |