ダナパロイドナトリウムが奏効した脾摘後門脈血栓症の1例

症例は48歳女性. C型肝硬変,肝細胞癌(HCC),脾腫による汎血球減少の診断で腫瘍切除および血小板増加を目的とした脾摘を企図した.肝S3の部分切除および脾摘を施行したが,術後6日目のCT検査で門脈内に血栓を認めた.同日よりダナパロイドナトリウムを投与したところ投与開始後12日目で血栓は消失した.ダナパロイドナトリウムはヘパリンナトリウムに比べ,出血傾向などの副作用を生じにくい新しい抗凝固剤である.本邦では播種性血管内凝固症候群のみが適応となっているが,欧米では肺血栓塞栓症など深部静脈血栓症に対しても広く適応とされ本症例においてもその有効性が示された....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 4; pp. 899 - 903
Main Authors 益子, 博幸, 横田, 良一, 石津, 寛之, 岡田, 邦明, 近藤, 征文, 横田, 健太郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2005
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.899

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Summary:症例は48歳女性. C型肝硬変,肝細胞癌(HCC),脾腫による汎血球減少の診断で腫瘍切除および血小板増加を目的とした脾摘を企図した.肝S3の部分切除および脾摘を施行したが,術後6日目のCT検査で門脈内に血栓を認めた.同日よりダナパロイドナトリウムを投与したところ投与開始後12日目で血栓は消失した.ダナパロイドナトリウムはヘパリンナトリウムに比べ,出血傾向などの副作用を生じにくい新しい抗凝固剤である.本邦では播種性血管内凝固症候群のみが適応となっているが,欧米では肺血栓塞栓症など深部静脈血栓症に対しても広く適応とされ本症例においてもその有効性が示された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.899