周産期母子腸内細菌叢と臍帯血IgEの関連

「目的」小児アレルギー疾患発症の予測因子の一つである臍帯血IgE値は, 遺伝的因子だけでなく, 胎内環境によっても影響されると考えられる. 最近の報告は腸内細菌叢の偏倚とアレルギー疾患の関連を支持しているが, 周産期の母体あるいは新生児の腸内細菌叢と臍帯血IgEとの関連についての知見は乏しい. そこでわれわれは, 臍帯血IgE値と胎内環境の一要素である母体の腸内細菌叢との関連, および臍帯血IgEと新生児腸内細菌叢との関連について解析した. 「方法」出産前に調査の同意を得られた母親より出生した児の臍帯血(n=68)を高感度ELISA法(検出限界0.15IU/ml)にて測定した. また, 出産直...

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Published in腸内細菌学雑誌 Vol. 21; no. 2; p. 76
Main Authors 鈴木修一, 下条直樹, 木村勝紀, 池上秀二, 河野陽一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ビフィズス菌センター 01.04.2007
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Summary:「目的」小児アレルギー疾患発症の予測因子の一つである臍帯血IgE値は, 遺伝的因子だけでなく, 胎内環境によっても影響されると考えられる. 最近の報告は腸内細菌叢の偏倚とアレルギー疾患の関連を支持しているが, 周産期の母体あるいは新生児の腸内細菌叢と臍帯血IgEとの関連についての知見は乏しい. そこでわれわれは, 臍帯血IgE値と胎内環境の一要素である母体の腸内細菌叢との関連, および臍帯血IgEと新生児腸内細菌叢との関連について解析した. 「方法」出産前に調査の同意を得られた母親より出生した児の臍帯血(n=68)を高感度ELISA法(検出限界0.15IU/ml)にて測定した. また, 出産直後の母親便(n=68), 日齢4(n=65), 出生後1か月(n=58)の新生児便について, BifidobacteriumおよびBacteroides特異的プライマーを用いてRT-PCR法にて両菌属を定量した. 「結果」(1)Bifidobacteriumの検出率, および検出検体の中央値は, 母親便100%, 5.0×109cells/g, 新生児便日齢4 59%, 5.3×108cells/g, 1か月78%, 2.3×1010cells/gであった.
ISSN:1343-0882