ATPを用いた化学療法の抗腫瘍効果増強に関する実験的研究
マウス培養細胞を用い, ATPの癌細胞および正常細胞の増殖, 膜透過性におよぼす影響を検討した. さらに本物質の癌化学療法への応用を目的として, 各種抗癌剤との併用実験を行った. ATPにより, 癌細胞では著明な細胞膜透過性の亢進, cell viabilityの低下がみられたのに対し, 非癌化細胞におけるこれらの変化は軽微で, ATP作用は癌細胞に特異的であった. ATP処理後の癌細胞における各種抗癌剤の抗腫瘍効果は, 5-FU, ADM, MMC, ACNUでは相加的, VCRでは相乗的に増強した. また, 正常細胞に対する抗癌剤の細胞毒性はATPの併用により増強されなかった. これらの結...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 21; no. 4; pp. 1225 - 1229 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.04.1988
一般社団法人日本消化器外科学会 The Japanese Society of Gastroenterological Surgery |
Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.21.1225 |
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Summary: | マウス培養細胞を用い, ATPの癌細胞および正常細胞の増殖, 膜透過性におよぼす影響を検討した. さらに本物質の癌化学療法への応用を目的として, 各種抗癌剤との併用実験を行った. ATPにより, 癌細胞では著明な細胞膜透過性の亢進, cell viabilityの低下がみられたのに対し, 非癌化細胞におけるこれらの変化は軽微で, ATP作用は癌細胞に特異的であった. ATP処理後の癌細胞における各種抗癌剤の抗腫瘍効果は, 5-FU, ADM, MMC, ACNUでは相加的, VCRでは相乗的に増強した. また, 正常細胞に対する抗癌剤の細胞毒性はATPの併用により増強されなかった. これらの結果からATPを用いることにより, 選択的癌化学療法が期待できるものと思われた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.21.1225 |