輸血感染症としての輸血後肝炎

我が国の日赤血液センターでは, 輸血にともなう感染症予防対策として, 供血者のスクリーニング検査には, 時代の先端かつ高感度の方法を導入してきたこともあって, 現在では輸血後肝炎の発症も極めて稀となっている. 一方, 臨床の場においても医療の進歩は著しく, その中にあって肝移植例や免疫療法施行例でB型肝炎ウイルス(HBV)感染が話題となっている. すなわち, 従来の方法でHBs抗原陰性(HBs抗体陽性)かつHBc抗体が低力価であればHBVの感染状態にないと考えられていたにもかかわらず, 時にはviremiaも存在するといった指摘である. 一般にウイルス感染症では潜伏期の診断が難しく, 輸血では...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 6; p. 922
Main Author 日野邦彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1999
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ISSN0546-1448

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Summary:我が国の日赤血液センターでは, 輸血にともなう感染症予防対策として, 供血者のスクリーニング検査には, 時代の先端かつ高感度の方法を導入してきたこともあって, 現在では輸血後肝炎の発症も極めて稀となっている. 一方, 臨床の場においても医療の進歩は著しく, その中にあって肝移植例や免疫療法施行例でB型肝炎ウイルス(HBV)感染が話題となっている. すなわち, 従来の方法でHBs抗原陰性(HBs抗体陽性)かつHBc抗体が低力価であればHBVの感染状態にないと考えられていたにもかかわらず, 時にはviremiaも存在するといった指摘である. 一般にウイルス感染症では潜伏期の診断が難しく, 輸血ではこの点が大きな課題であった. しかし, 臨床的に問題となることは少なく, むしろ既往の感染と診断した例の中にHBVキャリアが存在するか否かが重要である.
ISSN:0546-1448