オフラインの身体化デザイン手法の開発と効果の検討 小学校6年生「月の満ち欠け」における身体写真のスライドから
身体化認知とは,身体と環境との相互作用に根ざした認知を取り扱う理論であり,オンラインとオフラインの区別がある。理科の実験・観察の考察は,オフラインの身体化認知と深く関わる。本研究は,考察の身体化認知を支援するオフラインの身体化デザインを開発し,その効果を明らかにすることを目的とした。対象とした学習は,小学校6年生の月の満ち欠けである。身体化デザインの手法として,身体写真のスライドを作成した。具体的には,角距離を示す身体行為の写真と,天体に関する視覚情報を時系列にプレゼンテーションソフトに蓄積した。その結果,以下が明らかになった。第一に,身体写真のスライドの活用は,写真内の感覚運動情報を想起した...
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Published in | 理科教育学研究 Vol. 65; no. 2; pp. 345 - 358 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本理科教育学会
30.11.2024
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Subjects | |
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Summary: | 身体化認知とは,身体と環境との相互作用に根ざした認知を取り扱う理論であり,オンラインとオフラインの区別がある。理科の実験・観察の考察は,オフラインの身体化認知と深く関わる。本研究は,考察の身体化認知を支援するオフラインの身体化デザインを開発し,その効果を明らかにすることを目的とした。対象とした学習は,小学校6年生の月の満ち欠けである。身体化デザインの手法として,身体写真のスライドを作成した。具体的には,角距離を示す身体行為の写真と,天体に関する視覚情報を時系列にプレゼンテーションソフトに蓄積した。その結果,以下が明らかになった。第一に,身体写真のスライドの活用は,写真内の感覚運動情報を想起した考察を促進させる可能性が示唆される。第二に,身体写真のスライドの活用は,学習者による考察と学習内容の定着に正の影響を与えることが示唆される。今回の手法と対象において,感覚運動情報をオフラインの考察に利用することは,一定の効果が期待できる。なお,空間スキルの高い児童に,別事象の推測と学習の定着に関する効果が示されが,その詳細は今後の課題になる。 |
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ISSN: | 1345-2614 2187-509X |
DOI: | 10.11639/sjst.24047 |