中国の障害のある児童・生徒に対する訪問教育における、教員と保護者との関係づくりとペアレント・トレーニングに関する実態調査 : ―訪問教育担当教員の視点からの分析

中国の「障害者教育条例」では訪問教育も特殊教育の一つの教育形態であるとされ、学齢期において、自宅療養が必要で通学して教育を受けることに困難がある障害のある児童・生徒に対し、訪問教育を実施することが明確に規定され、今後の中国の特殊教育の体制を考えていく上で無視のできない仕組みである。本研究では中国における訪問教育の担当教員を対象とし、対象となる児童・生徒の保護者との関係性を分析し、さらに訪問教育を行う際に実施するペアレント・トレーニングの実態を調べ、ペアレント・トレーニングが中国の訪問教育において、どの様な役割を果たしているのか、その位置付けを明らかにすることを目的とした。今回の研究を通して訪問...

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Published inJournal of Inclusive Education Vol. 11; pp. 1 - 14
Main Authors WANG Qingtong, 王 青童, TAKEDA Kazunori, 竹田 一則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会 30.08.2022
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Summary:中国の「障害者教育条例」では訪問教育も特殊教育の一つの教育形態であるとされ、学齢期において、自宅療養が必要で通学して教育を受けることに困難がある障害のある児童・生徒に対し、訪問教育を実施することが明確に規定され、今後の中国の特殊教育の体制を考えていく上で無視のできない仕組みである。本研究では中国における訪問教育の担当教員を対象とし、対象となる児童・生徒の保護者との関係性を分析し、さらに訪問教育を行う際に実施するペアレント・トレーニングの実態を調べ、ペアレント・トレーニングが中国の訪問教育において、どの様な役割を果たしているのか、その位置付けを明らかにすることを目的とした。今回の研究を通して訪問教育の担当教員は、訪問指導に際する保護者との関係について比較的満足度が高く、また多くの保護者も訪問教育に対し高い関心を持ち、積極的に指導に参加する意欲を示していると考えられた。さらに、ペアレント・トレーニングの実施が訪問教育の質の向上に関与することが明らかになり、今後、中国の訪問教育においてペアレント・トレーニングに関するより一層の取り組み強化が重要であることが示唆された。
ISSN:2189-9185
2189-9185
DOI:10.20744/incleedu.11.0_1