言語野周辺の高次脳機能 皮質電気刺激・皮質脳波による高次脳機能マッピング

皮質電気刺激は限局した部位の高次脳機能を一時的に止めるため,言語野を詳細に調べることができる。難治性てんかん患者において,この手法で言語野を検討したところ,1 つの言語野内でも1 センチ離れると異なる言語機能があること,言語野には個人差が大きいこと,前方言語野・後方言語野ともに言語の表出・受容の両面に関わっていることが明らかになった。さらに,皮質電気刺激で提唱されている側頭葉底面言語野について検討した。側頭葉底面を刺激したところ,言語障害が誘発された場合にのみ,刺激中に上側頭回後方の言語野に脳波変化が認められた。したがって側頭葉底面-後方言語野の機能的関連により言語症状が出現したと考えられた。...

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Bibliographic Details
Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 28; no. 2; pp. 176 - 183
Main Author 鈴木, 匡子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能学会 30.06.2008
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.28.176

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Summary:皮質電気刺激は限局した部位の高次脳機能を一時的に止めるため,言語野を詳細に調べることができる。難治性てんかん患者において,この手法で言語野を検討したところ,1 つの言語野内でも1 センチ離れると異なる言語機能があること,言語野には個人差が大きいこと,前方言語野・後方言語野ともに言語の表出・受容の両面に関わっていることが明らかになった。さらに,皮質電気刺激で提唱されている側頭葉底面言語野について検討した。側頭葉底面を刺激したところ,言語障害が誘発された場合にのみ,刺激中に上側頭回後方の言語野に脳波変化が認められた。したがって側頭葉底面-後方言語野の機能的関連により言語症状が出現したと考えられた。皮質脳波を用いた事象関連電位では,呼称や単語の弁別に関連して左側頭葉底面でガンマ帯域の脳波変化が認められた。以上,皮質電極を用いた検討は,個人ごとの言語機能の局在・連合を解明する上で有用であると考えられる。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.28.176