冷え症(血管運動神経障害)に対する下肢への低周波鍼通電療法の効果

「I はじめに」冷え症は, 更年期のみならず若年女性にもみられ, 内分泌機能の異常だけではなく, 生活環境や食習慣などを含めた多要因を背景に起こる体温調節障害が表出したものであるとの認識が高まりつつある1). しかし, 冷え症について, その識別は主観的に冷え症を自覚しているか否かに依拠しており, 冷え症の定義も定かではなく, 生命を脅かす可能性が低いことから, 医学的な診断基準や治療法に関する統一的な見解は示されていない. 近年, 冷え症の特性となる指標の検討がなされ, 高齢者と若年者では発現機序が異なる可能性も示唆されているが, 共通の成因として自律神経機能の変調に伴う血管運動神経障害が報...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 231 - 240
Main Authors 坂口俊二, 久下浩史, 小島賢久, 竹田太郎, 宮嵜潤二, 佐々木和郎, 森英俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本温泉気候物理医学会 01.08.2010
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Summary:「I はじめに」冷え症は, 更年期のみならず若年女性にもみられ, 内分泌機能の異常だけではなく, 生活環境や食習慣などを含めた多要因を背景に起こる体温調節障害が表出したものであるとの認識が高まりつつある1). しかし, 冷え症について, その識別は主観的に冷え症を自覚しているか否かに依拠しており, 冷え症の定義も定かではなく, 生命を脅かす可能性が低いことから, 医学的な診断基準や治療法に関する統一的な見解は示されていない. 近年, 冷え症の特性となる指標の検討がなされ, 高齢者と若年者では発現機序が異なる可能性も示唆されているが, 共通の成因として自律神経機能の変調に伴う血管運動神経障害が報告されている2,3). 鍼灸・漢方を両輪とする東洋医学では, 冷えを重要なメルクマールとして診断・治療を行い, 症例集積や症例対照研究において50-70%の改善率をあげている4). しかし, その治療法や評価法は多様で, エビデンスの構築に向けて臨床研究を進める上で, 共通の概念で有効な治療法を提示することは不可欠である.
ISSN:0029-0343