左房壁内に孤立性膿瘍を認めた大動脈二尖弁に合併した感染性心内膜炎の1手術例

症例は56歳,男性.不明熱に対して他院で抗生剤投与を受けていたが,鬱血性心不全に伴う呼吸困難が出現したため,当院紹介入院となる.血液培養ではStreptococcus gordoniiが検出され,心エコー検査では感染性心内膜炎(IE)による大動脈弁閉鎖不全症と診断された.内科的治療では心不全のコントロールが不可能であったために緊急手術を施行した.大動脈弁は二尖弁で弁尖には高度の石灰化と疣贅を認めたが,弁輪部には感染所見は認めなかった.疣贅から離れた左房上壁の心筋内に膿瘍を形成していた.手術は,上左房切開を加えて心筋内膿瘍を可及的に切開・排膿したのちに大動脈弁置換術を施行した.本症例では弁輪部と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 49 - 52
Main Authors 鈴木, 仁之, 木下, 肇彦, 徳井, 俊也, 田中, 啓三, 金光, 真治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.01.2006
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
The Japanese Society for Cardiouascular Surgery
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.35.49

Cover

More Information
Summary:症例は56歳,男性.不明熱に対して他院で抗生剤投与を受けていたが,鬱血性心不全に伴う呼吸困難が出現したため,当院紹介入院となる.血液培養ではStreptococcus gordoniiが検出され,心エコー検査では感染性心内膜炎(IE)による大動脈弁閉鎖不全症と診断された.内科的治療では心不全のコントロールが不可能であったために緊急手術を施行した.大動脈弁は二尖弁で弁尖には高度の石灰化と疣贅を認めたが,弁輪部には感染所見は認めなかった.疣贅から離れた左房上壁の心筋内に膿瘍を形成していた.手術は,上左房切開を加えて心筋内膿瘍を可及的に切開・排膿したのちに大動脈弁置換術を施行した.本症例では弁輪部とは離れた部位に膿瘍が認められたことから,血行性に感染が波及したものと考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.35.49