片側型症候性変形性膝関節症患者に膝装具を両側と患側のみに装着させた場合の臨床効果比較

「はじめに」内側型変形性膝関節症 (以下, 膝OA) 患者の多くは, 保温する目的で一般的に "サポーター" と呼ばれる膝軟性装具を自主的に装着している. しかし, 軟性装具の保温効果が膝OAの疼痛を緩和するとの見解を疑問視する研究がある. Mazzucaらは, 51例の膝OA患者に体温を保持するような機能を備えた膝軟性装具を装着した患者群と通常の綿の弾性包帯を装着した患者群に分け, 4週間治療前後での重症度指数の改善度を比較した. その結果, 重症度指数の改善度には両群間で有意差はなかった. この結果から膝軟性装具の効果は保温が主たる要因ではなく, その他の機能によるとこ...

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Published in日本関節病学会誌 Vol. 29; no. 2; pp. 223 - 229
Main Authors 戸田佳孝, 月村規子, 槻浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本関節病学会 2010
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ISSN1883-2873

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Summary:「はじめに」内側型変形性膝関節症 (以下, 膝OA) 患者の多くは, 保温する目的で一般的に "サポーター" と呼ばれる膝軟性装具を自主的に装着している. しかし, 軟性装具の保温効果が膝OAの疼痛を緩和するとの見解を疑問視する研究がある. Mazzucaらは, 51例の膝OA患者に体温を保持するような機能を備えた膝軟性装具を装着した患者群と通常の綿の弾性包帯を装着した患者群に分け, 4週間治療前後での重症度指数の改善度を比較した. その結果, 重症度指数の改善度には両群間で有意差はなかった. この結果から膝軟性装具の効果は保温が主たる要因ではなく, その他の機能によるところが大きいとの結論が導かれた. 膝OAに対する軟性装具の作用機序は固有知覚やバランス機能の改善であるとの報告がある.
ISSN:1883-2873