直腸癌原発の孤立性転移性膵腫瘍の1切除例

症例は62歳の女性で, 2000年1月直腸癌にて低位前方直腸切除術の既往がある. 2000年11月より血清CEA の上昇傾向を認めていたが, 画像診断上再発所見を認めず, 経過観察されていた. その後も血清CEAは上昇を認め, 2001年8月CTにて膵体部に腫瘤を認めた. 2001年10月当科を紹介された. 孤立性膵腫瘍であり, 他に転移を認めないことから, 膵体尾部脾合併切除術を施行した. 腫瘍は7×4cm 大で, 組織学的に中分化腺癌の像を呈し, 直腸癌の転移と診断した. 術後, 5-FUとisovorinの化学療法を開始し, 2003年7月現在, 血清CEAの軽度上昇を認めるが, 画像上...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 6; pp. 692 - 696
Main Authors 稲垣, 均, 黒川, 剛, 小島, 泰樹, 松井, 隆則, 藤光, 康信, 野浪, 敏明, 坂本, 純一, 小島, 宏, 加藤, 潤二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2004
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.37.692

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Summary:症例は62歳の女性で, 2000年1月直腸癌にて低位前方直腸切除術の既往がある. 2000年11月より血清CEA の上昇傾向を認めていたが, 画像診断上再発所見を認めず, 経過観察されていた. その後も血清CEAは上昇を認め, 2001年8月CTにて膵体部に腫瘤を認めた. 2001年10月当科を紹介された. 孤立性膵腫瘍であり, 他に転移を認めないことから, 膵体尾部脾合併切除術を施行した. 腫瘍は7×4cm 大で, 組織学的に中分化腺癌の像を呈し, 直腸癌の転移と診断した. 術後, 5-FUとisovorinの化学療法を開始し, 2003年7月現在, 血清CEAの軽度上昇を認めるが, 画像上明らかな再発所見を認めず, 外来通院中である. 大腸癌膵転移は極めてまれであり, その切除の報告例は検索しえた範囲内で, 自験例を含めて14例に過ぎない. 長期生存例の報告もあり, 孤立性で他に転移巣を認めない場合には, 積極的に手術を行うべきと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.692