胸部食道癌根治術後の嚥下障害に対する摂食嚥下リハビリテーションの施行経験

食道癌根治術後の嚥下障害に対する摂食嚥下リハビリテーション施行経験について問題点も含め検討した. 胸部食道癌根治術後に誤嚥の危険性があった9症例について, 以下の摂食嚥下リハビリテーションを行った.(1) ビデオ嚥下造影検査 (VF) で, 嚥下諸器官の動き, 食塊の動き, 誤嚥程度, 誤嚥しにくいリクライニング角度と食餌形態を評価した.(2) VF 結果をもとに, 直接訓練と間接訓練を繰り返した.(3) 再度VF で評価した.(4) 食事の自立まで (1)(2)(3) を繰り返した. 9例中, 反回神経麻痺は5例あり, 両側麻痺は1 例であった. 8例は重篤な誤嚥性肺炎の合併なく退院できた....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 571 - 576
Main Authors 坪佐, 恭宏, 佐藤, 弘, 根本, 昌之, 安藤, 牧子, 辻, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2005
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Summary:食道癌根治術後の嚥下障害に対する摂食嚥下リハビリテーション施行経験について問題点も含め検討した. 胸部食道癌根治術後に誤嚥の危険性があった9症例について, 以下の摂食嚥下リハビリテーションを行った.(1) ビデオ嚥下造影検査 (VF) で, 嚥下諸器官の動き, 食塊の動き, 誤嚥程度, 誤嚥しにくいリクライニング角度と食餌形態を評価した.(2) VF 結果をもとに, 直接訓練と間接訓練を繰り返した.(3) 再度VF で評価した.(4) 食事の自立まで (1)(2)(3) を繰り返した. 9例中, 反回神経麻痺は5例あり, 両側麻痺は1 例であった. 8例は重篤な誤嚥性肺炎の合併なく退院できた. 1例は両側麻痺例で, 誤嚥性肺炎を合併した. 適切なリクライニング位や食餌形態選択などの代償手段を含めた摂食嚥下リハビリテーションは, 嚥下障害例に有効である可能性がある. 両側麻痺例は, より一層の注意が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.38.571