腸管腹壁瘻に対する保存的治療後に腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行したCrohn病の1例

回腸狭窄と同部位の腸管腹壁瘻による皮下膿瘍を合併したCrohn病に対し, 腹腔鏡補助下手術を施行した. 症例は30歳の男性, 1996年発症のCrohn病でステロイドと経腸栄養による内科的治療を施行していた. 2001年10月23日回腸終末の狭窄を伴う瘻孔に起因する右下腹部の皮下膿瘍を認めたが, 切開排膿で軽快した. しかし, 2001年12月17 日同部位に皮下膿瘍が再燃し, 狭窄によって経腸栄養でも腹痛を認めるようになった. 狭窄に対しては内視鏡下バルーン拡張術を施行したが奏効せず, 外科的治療の適応と判断した. 禁食, 高カロリー輸液で炎症軽快とステロイド減量を待ち2002年2月19日腹...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 2; pp. 143 - 148
Main Authors 白石, 好, 中山, 隆盛, 磯部, 潔, 森, 俊治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2003
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.36.143

Cover

More Information
Summary:回腸狭窄と同部位の腸管腹壁瘻による皮下膿瘍を合併したCrohn病に対し, 腹腔鏡補助下手術を施行した. 症例は30歳の男性, 1996年発症のCrohn病でステロイドと経腸栄養による内科的治療を施行していた. 2001年10月23日回腸終末の狭窄を伴う瘻孔に起因する右下腹部の皮下膿瘍を認めたが, 切開排膿で軽快した. しかし, 2001年12月17 日同部位に皮下膿瘍が再燃し, 狭窄によって経腸栄養でも腹痛を認めるようになった. 狭窄に対しては内視鏡下バルーン拡張術を施行したが奏効せず, 外科的治療の適応と判断した. 禁食, 高カロリー輸液で炎症軽快とステロイド減量を待ち2002年2月19日腹腔鏡補助下右結腸切除, 回腸切除術を施行した. 回盲部と腹壁に強度の癒着を認めたが容易に剥離可能で小切開創より病変部を露出し切除吻合した. 術後は合併症なく軽快退院した. 瘻孔や膿瘍を形成するCrohn病も適切な保存的管理で腹腔鏡手術の適応となると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.36.143