G-CSF産生退形成膵管癌の1例

症例は62歳の女性で, 発熱と全身倦怠感を訴え入院中であったが, CTおよびUSにて膵腫瘍性病変を指摘され当科へ紹介された. 術前の白血球数は増加 (15,700/mm3) し発熱を伴い, CA19-9は上昇 (1,342U/ml) していた. CTで膵尾部から脾門部にかけて部分的に造影効果のある腫瘍様陰影を認めた. USでは膵尾部に内部不均一な低エコー性の腫瘍像が描出された. 膵体尾部切除が施行され, 病理組織診断にて退形成性膵管癌と診断された. また, 免疫組織化学染色にてG-CSF産生が証明され, G-CSF産生腫瘍と確認された. 手術後も白血球数は増加し続け, 癌性悪液質とDICを来し...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 3; pp. 318 - 323
Main Authors 安藤, 秀行, 水野, 豊, 安藤, 修久, 福原, 政作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2005
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.38.318

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Summary:症例は62歳の女性で, 発熱と全身倦怠感を訴え入院中であったが, CTおよびUSにて膵腫瘍性病変を指摘され当科へ紹介された. 術前の白血球数は増加 (15,700/mm3) し発熱を伴い, CA19-9は上昇 (1,342U/ml) していた. CTで膵尾部から脾門部にかけて部分的に造影効果のある腫瘍様陰影を認めた. USでは膵尾部に内部不均一な低エコー性の腫瘍像が描出された. 膵体尾部切除が施行され, 病理組織診断にて退形成性膵管癌と診断された. また, 免疫組織化学染色にてG-CSF産生が証明され, G-CSF産生腫瘍と確認された. 手術後も白血球数は増加し続け, 癌性悪液質とDICを来し, 術後38日目に死亡した. G-CSF産生膵癌は極めてまれで, 自験例を含めてこれまでに8例の報告を認めるのみである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.38.318