開腹術後の仮性動脈瘤形成症例に対する初期治療対策

教室で経験した11例の開腹術後仮性動脈瘤 (以下, 動脈瘤) 症例を対象に, (1) 臨床症状, (2) 動脈瘤形成に関与したと思われる術後合併症, (3) 発生時期, (4) 治療までの時間, (5) 細菌感染の有無, (6) 動脈瘤の形成部位, (7) 動脈瘤の最大直径, (8) 治療方法, (9) 予後を検討し, 治療戦略を検討した。予後不良となる危険因子として, 術後合併症としての胆汁瘻の存在, 細菌感染の合併, 治療までの時間≧33.0時間, 動脈瘤最大直径≧13.5mmなどが確認された。初期治療対策としてIVRは非常に有効な治療法であるが, 危険因子が複数認められる症例では早期手術...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 21; no. 4; pp. 653 - 658
Main Authors 長尾, 二郎, 中村, 光彦, 寺田, 武史, 榎本, 俊行, 渡辺, 学, 碓井, 貞仁, 柁原, 宏久, 中村, 順哉, 斉田, 芳久, 草地, 信也, 炭山, 嘉伸, 田中, 英則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2001
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.21.653

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Summary:教室で経験した11例の開腹術後仮性動脈瘤 (以下, 動脈瘤) 症例を対象に, (1) 臨床症状, (2) 動脈瘤形成に関与したと思われる術後合併症, (3) 発生時期, (4) 治療までの時間, (5) 細菌感染の有無, (6) 動脈瘤の形成部位, (7) 動脈瘤の最大直径, (8) 治療方法, (9) 予後を検討し, 治療戦略を検討した。予後不良となる危険因子として, 術後合併症としての胆汁瘻の存在, 細菌感染の合併, 治療までの時間≧33.0時間, 動脈瘤最大直径≧13.5mmなどが確認された。初期治療対策としてIVRは非常に有効な治療法であるが, 危険因子が複数認められる症例では早期手術も選択肢の一つとなる。動脈瘤の発生予防には, 原疾患の周術期の感染対策と手術手技の向上が重要であり, 本症を早期に診断をつけ初療を確実なものにするために, 術後合併症として動脈瘤の存在を常に認識しておくことが重要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.21.653