大動脈縮窄症に合併した多房性胸部大動脈瘤の1手術例

症例は19歳の女性. 6歳のとき, 大動脈縮窄症, 圧較差40mmHgと診断, 以後経過観察されていた. 今回, 手術適応の再検討のため紹介された. 左右上肢血圧差20mmHg, 右上肢下肢血圧差40mmHgを認めた. カテーテル検査では左総頸動脈より末梢の遠位大動脈弓~下行大動脈間に多房性 saccular type の瘤を認め, また瘤と下行大動脈間に縮窄部を認めた. 手術所見: 多房性 saccular type の瘤を認め, 瘤壁はきわめて薄く, 瘤内の血流は透視可能で, きわめて破裂の危険の高い症例であった. また内膜の肥厚と菲薄化を認め, 瘤と下行大動脈間に縮窄部を認めた. 直径1...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 30; no. 1; pp. 55 - 57
Main Authors 水野, 朝敏, 青木, 功雄, 小柳, 勝司, 黒澤, 博身
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.01.2001
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.30.55

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Summary:症例は19歳の女性. 6歳のとき, 大動脈縮窄症, 圧較差40mmHgと診断, 以後経過観察されていた. 今回, 手術適応の再検討のため紹介された. 左右上肢血圧差20mmHg, 右上肢下肢血圧差40mmHgを認めた. カテーテル検査では左総頸動脈より末梢の遠位大動脈弓~下行大動脈間に多房性 saccular type の瘤を認め, また瘤と下行大動脈間に縮窄部を認めた. 手術所見: 多房性 saccular type の瘤を認め, 瘤壁はきわめて薄く, 瘤内の血流は透視可能で, きわめて破裂の危険の高い症例であった. また内膜の肥厚と菲薄化を認め, 瘤と下行大動脈間に縮窄部を認めた. 直径16mmの人工血管を用いて, 遠位大動脈弓~胸部下行大動脈間を再建し, さらに8mmの人工血管を用いて左鎖骨下動脈を再建した. 本症の自然経過では, 瘤破裂が認められ, 放置すれば予後不良な疾患であり, 積極的な外科治療が必要と考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.30.55