体質性indocyanine green (ICG)排泄異常症と特発性心筋症の合併例特異な肝細胞内封入体を持つ1例

ICG試験で高度停滞があり, BSP試験との間に解離のある例で肝に特異な封入体を認め,かつ心筋症を合併した1例を報告する.症例は54才,男,会社員。軽度黄疸あるほか血液生化学,胆〓検査など異常ないが, ICG15分停滞率は75.7%, BSP45分停滞率は14%と解離.この現象は兄弟にも認められた.両色素の血漿消失曲線も異常であり,肝生検で有意な病変なく,体質性ICG排泄異常症と診断した.肝細胞質内に好酸性の球状体あり,電顕的には電子密度の高い微細穎粒状であつた. 50才時より不正脈あり,心電図では心房細動,高電位差,巨大陰性T波あり,心エコー図で乳頭筋近くから心尖部にかけて心筋肥厚がある.各...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 71; no. 10; pp. 1461 - 1466
Main Authors 関根, 今生, 宮, 哲正, 野村, 忍, 森本, 和大, 森島, 明, 村田, 瑞穂, 大谷, 直史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 01.10.1982
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.71.1461

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Summary:ICG試験で高度停滞があり, BSP試験との間に解離のある例で肝に特異な封入体を認め,かつ心筋症を合併した1例を報告する.症例は54才,男,会社員。軽度黄疸あるほか血液生化学,胆〓検査など異常ないが, ICG15分停滞率は75.7%, BSP45分停滞率は14%と解離.この現象は兄弟にも認められた.両色素の血漿消失曲線も異常であり,肝生検で有意な病変なく,体質性ICG排泄異常症と診断した.肝細胞質内に好酸性の球状体あり,電顕的には電子密度の高い微細穎粒状であつた. 50才時より不正脈あり,心電図では心房細動,高電位差,巨大陰性T波あり,心エコー図で乳頭筋近くから心尖部にかけて心筋肥厚がある.各種検査によるもこれらの原因疾患はみつからず,特発性心筋症と考えられた.本例のように体質性ICG排泄異常症と心筋症を合併した例は未だ報告されていない.肝細胞内の球状体は蛋白様物質からなり,封入体であることはわかつたが,今迄に報告されている血漿封入体とも異なり,その本体は現在のところ不明である.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.71.1461