潜在結核感染症治療中に発生した肝機能障害

「要旨」:〔目的〕平成19年より潜在結核感染症に対する公費負担制度が改正され, 年齢制限が廃止された. 30歳以上のINHによる肝機能障害の発生が懸念され, 29歳までとの差を検討し, 対応策を考察する. 〔対象〕平成19年8月から20年12月までに当所で潜在結核感染症として治療をした29歳以下99名, 30歳以上229名である. 〔方法〕治療開始前, 開始約1カ月半後, その後終了時までほぼ1カ月ごとにASTとALTを検査し, どちらかが100IU/L以上になった場合を肝機能障害とした. 〔結果〕(1)肝機能障害出現の頻度:29歳以下7/99名(7.1%), 30歳以上42/229名(18....

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Published in結核 Vol. 86; no. 2; pp. 51 - 55
Main Authors 中園智昭, 手塚直子, 田川斉之, 高柳喜代子, 杉田博宣, 高瀬昭, 山口智道, 島尾忠男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.02.2011
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Summary:「要旨」:〔目的〕平成19年より潜在結核感染症に対する公費負担制度が改正され, 年齢制限が廃止された. 30歳以上のINHによる肝機能障害の発生が懸念され, 29歳までとの差を検討し, 対応策を考察する. 〔対象〕平成19年8月から20年12月までに当所で潜在結核感染症として治療をした29歳以下99名, 30歳以上229名である. 〔方法〕治療開始前, 開始約1カ月半後, その後終了時までほぼ1カ月ごとにASTとALTを検査し, どちらかが100IU/L以上になった場合を肝機能障害とした. 〔結果〕(1)肝機能障害出現の頻度:29歳以下7/99名(7.1%), 30歳以上42/229名(18.3%). カイ二乗検定P<0.01有意差有り. (2)肝機能障害発生後の対応:同量で服薬継続, 減量または減感作をし治療終了35/49名(71%). 中止しXPで経過観察9/49名. 自己中止2/49名, 不明3/49名であった. 〔考察・結語〕30歳以上で肝機能障害発生の頻度が有意に高く, 平成21年2月から治療開始2週間後とその後ほぼ毎月肝機能を測定し重症に至らないよう早期発見に努めている.
ISSN:0022-9776