幽門狭窄で発症した胃迷入膵原発腺癌の1例

幽門狭窄で発症した胃迷入膵原発腺癌の1例を報告する. 症例は58歳の女性で, 約1か月前からの食後頻回の嘔吐を主訴に当院来院した. 胃内視鏡検査では幽門輪の全周性の狭窄を認めたが粘膜生検では悪性所見は認めなかった. また, 超音波内視鏡検査でも胃壁層構造は保たれており腫瘍像は認めなかった. 症状の改善を目的に2度のバルーン拡張術を行ったが, 狭窄症状が軽快しなかったため開腹術を行った. 幽門部粘膜の術中迅速病理検査では悪性所見を認めなかったため, 幽門輪切除術のみを行った. 病理組織学的検査では, 粘膜筋板から漿膜にかけて浸潤性に増殖する腺癌を認め, その近傍に異所性膵組織および上皮に異型を伴...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 5; pp. 512 - 516
Main Authors 三谷, 英信, 安藤, 隆史, 辻, 和宏, 池田, 宏国, 平川, 栄一郎, 斉藤, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2004
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.37.512

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Summary:幽門狭窄で発症した胃迷入膵原発腺癌の1例を報告する. 症例は58歳の女性で, 約1か月前からの食後頻回の嘔吐を主訴に当院来院した. 胃内視鏡検査では幽門輪の全周性の狭窄を認めたが粘膜生検では悪性所見は認めなかった. また, 超音波内視鏡検査でも胃壁層構造は保たれており腫瘍像は認めなかった. 症状の改善を目的に2度のバルーン拡張術を行ったが, 狭窄症状が軽快しなかったため開腹術を行った. 幽門部粘膜の術中迅速病理検査では悪性所見を認めなかったため, 幽門輪切除術のみを行った. 病理組織学的検査では, 粘膜筋板から漿膜にかけて浸潤性に増殖する腺癌を認め, その近傍に異所性膵組織および上皮に異型を伴う膵導管が存在していたことより, 胃迷入膵原発の腺癌と診断した. 後日胃幽門側追加切除術, リンパ節郭清 (D2) を行ったところ, No.5にリンパ節転移を認めた. 総合所見はpT2, pN1, sH0, sP0, cM0, fStage IIであった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.512