乳頭部癌および下部胆管癌における拡大リンパ節郭清の功罪

乳頭部癌および下部胆管癌における拡大リンパ節郭清の功罪について検討した. 当科において切除し, 十分に検索できた乳頭部癌85例, 下部胆管癌55例を対象とした. 乳頭部癌ではリンパ節転移が37例 (43.5%) で,(13) a, b21.2%,(14) 12.9%,(16) 1.2%であった. 5年以上の生存例は34例でn2症例は7例であった.(14) 郭清により3例に難治性下痢がみられ, 1例が下痢に起因する合併症で死亡した.局所再発として (14) 再発が3例にみられた. 下部胆管癌ではリンパ節転移は25例 (45.5%) で,(13) a16.4%,(12) b216.4%,(14)...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 4; pp. 892 - 897
Main Authors 柴田, 順二, 木下, 壽文, 吉田, 正, 今山, 裕康, 中山, 和道, 福田, 秀一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.1995
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.28.892

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Summary:乳頭部癌および下部胆管癌における拡大リンパ節郭清の功罪について検討した. 当科において切除し, 十分に検索できた乳頭部癌85例, 下部胆管癌55例を対象とした. 乳頭部癌ではリンパ節転移が37例 (43.5%) で,(13) a, b21.2%,(14) 12.9%,(16) 1.2%であった. 5年以上の生存例は34例でn2症例は7例であった.(14) 郭清により3例に難治性下痢がみられ, 1例が下痢に起因する合併症で死亡した.局所再発として (14) 再発が3例にみられた. 下部胆管癌ではリンパ節転移は25例 (45.5%) で,(13) a16.4%,(12) b216.4%,(14) 9.1%,(16) 1.8%であった.(14) 郭清により4例に難治性下痢がみられた. 局所再発として後腹膜腫瘤が8例にみられた. 長期生存例や再発形式からみると (14) (16) の郭清の重要性が示唆される. しかし (14) 郭清に伴う上腸間膜動脈神経叢の切除により, 術後に難治性下痢などを生じ栄養障害を起こしQOLに障害をきたすため, 進行度に応じたバランスのとれたリンパ節郭清が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.28.892