十二指腸潰瘍穿孔に伴うバリウム腹膜炎の1例

症例は28歳男性。以前より胃・十二指腸潰瘍で近医にて内服加療されていた。2004年8月30日早朝, 突然腹痛を自覚し近医受診し, バリウムにて上部消化管透視を施行された。腹痛が持続し腹膜刺激症状出現したため, 急性腹症にて翌8月31日当科紹介された。来院時, 39.0℃の発熱と腹部全体にわたる筋性防御を認めた。腹部単純X線写真・CT検査にて, 腹腔内遊離ガス像とバリウムの腹腔内への漏出を認め, 十二指腸潰瘍穿孔によるバリウム腹膜炎と診断し, 緊急手術を施行した。十二指腸球部前壁に穿孔を認め穿孔部を縫合閉鎖し, 腹腔内のバリウムを可及的に除去した。術後経過は良好で第13病日に退院した。バリウム腹...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 7; pp. 947 - 950
Main Authors 鈴木, 龍児, 加藤, 拓見, 澤田, 正志, 北村, 道彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2005
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Summary:症例は28歳男性。以前より胃・十二指腸潰瘍で近医にて内服加療されていた。2004年8月30日早朝, 突然腹痛を自覚し近医受診し, バリウムにて上部消化管透視を施行された。腹痛が持続し腹膜刺激症状出現したため, 急性腹症にて翌8月31日当科紹介された。来院時, 39.0℃の発熱と腹部全体にわたる筋性防御を認めた。腹部単純X線写真・CT検査にて, 腹腔内遊離ガス像とバリウムの腹腔内への漏出を認め, 十二指腸潰瘍穿孔によるバリウム腹膜炎と診断し, 緊急手術を施行した。十二指腸球部前壁に穿孔を認め穿孔部を縫合閉鎖し, 腹腔内のバリウムを可及的に除去した。術後経過は良好で第13病日に退院した。バリウム腹膜炎の報告例は比較的少なく, 上部と下部の消化管穿孔に起因するものに分けられ, 前者の場合は死亡報告例も少なく予後は良好である。術後バリウムが腹腔内に残存する場合, 後期合併症として癒着性のイレウスに注意する必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.25.947