小児急性リンパ性白血病の発症6年後に脳腫瘍をきたした1例

小児急性リンパ性白血病の発症6年後に脳腫瘍をきたした症例を経験したので報告した.症例は16歳の男性.1988年1月, T細胞性ALLと診断され, 東京小児がんグループ (TCCSG) のALLプロトコール11次案extremely high risk group regimen (Hex) にて10歳のときに寛解に到達した.このとき, 頭蓋照射を24Gy行った.以後良好な経過をとった.1994年7月右片麻痺, 頭痛, 嘔吐を訴えたためCT, MRIを施行.左前頭葉から頭頂葉にかけて辺縁が不鮮明で, 出血を伴った腫瘍性病変を認めた.広範囲であること, 浮腫を伴うこと, 左側であることより保存的治...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 10; no. 3; pp. 189 - 193
Main Authors 市川, 正孝, 花田, 良二, 相原, 敏則, 熊崎, 寿美, 山本, 圭子, 小川, 恵弘, 菊地, 陽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 30.06.1996
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.10.189

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Summary:小児急性リンパ性白血病の発症6年後に脳腫瘍をきたした症例を経験したので報告した.症例は16歳の男性.1988年1月, T細胞性ALLと診断され, 東京小児がんグループ (TCCSG) のALLプロトコール11次案extremely high risk group regimen (Hex) にて10歳のときに寛解に到達した.このとき, 頭蓋照射を24Gy行った.以後良好な経過をとった.1994年7月右片麻痺, 頭痛, 嘔吐を訴えたためCT, MRIを施行.左前頭葉から頭頂葉にかけて辺縁が不鮮明で, 出血を伴った腫瘍性病変を認めた.広範囲であること, 浮腫を伴うこと, 左側であることより保存的治療にて経過をみたが, 入院後約3週間で死亡した.剖検より脳腫瘍はanaplastic astrocytomaと診断した.白血病の頭蓋照射後に発症する2次癌としての脳腫瘍はgliomaが多く, 放射線との関係が示唆された.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.10.189