腹部大動脈瘤手術後6年目に吻合部破綻をきたした vasculo-Behçet 病の1症例

両側の腸骨・大腿動脈領域に反復発生した Behçet 病に伴う動脈瘤に対し約10か月間に6回の手術を施行した. その後, 新たに発生した腹部大動脈瘤に対する人工血管移植術後6年目に吻合部破綻をきたした52歳, 男性症例を経験した. 手術時中枢側吻合部は全周性に離開しており, 同部への人工血管の再縫着は将来縫合部に異常をきたす可能性が高いと判断した. 腹部大動脈を腎動脈分岐部末梢で遮断し, 下肢血行再建は右腋窩動脈と右外腸骨動脈間に8mm人工血管を置いた非解剖学的バイパスで行った. 術後4年を経過し社会復帰している. Behçet 病に伴う血管炎の再燃, 進行を阻止する確実な方法がない現在, さ...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 25; no. 1; pp. 59 - 63
Main Authors 古賀, 正哲, 宮崎, 俊明, 湯田, 敏行, 有川, 和宏, 福田, 茂, 戸田, 理一郎, 渡辺, 俊一, 梅林, 雄介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.01.1996
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.25.59

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Summary:両側の腸骨・大腿動脈領域に反復発生した Behçet 病に伴う動脈瘤に対し約10か月間に6回の手術を施行した. その後, 新たに発生した腹部大動脈瘤に対する人工血管移植術後6年目に吻合部破綻をきたした52歳, 男性症例を経験した. 手術時中枢側吻合部は全周性に離開しており, 同部への人工血管の再縫着は将来縫合部に異常をきたす可能性が高いと判断した. 腹部大動脈を腎動脈分岐部末梢で遮断し, 下肢血行再建は右腋窩動脈と右外腸骨動脈間に8mm人工血管を置いた非解剖学的バイパスで行った. 術後4年を経過し社会復帰している. Behçet 病に伴う血管炎の再燃, 進行を阻止する確実な方法がない現在, さらに厳重なフォローが必要である.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.25.59