血中CEA異常高値を呈した進行食道扁平上皮癌の1例

血中carcinoembryonic antigen (以下, CEA と略記) 値が異常高値を呈し, 再発と治療効果に対して有用な指標となった進行食道扁平上皮癌の1例を経験したので報告する. 症例は70歳の男性で, 嚥下困難を主訴に, 近医にて上部消化管内視鏡検査を施行. 胸部上部食道に腫瘍を認め, 生検にて扁平上皮癌と診断, 精査加療目的に当科紹介となった. 入院時血中CEA値は19ng/mlと高値を示した. 諸検査にて他臓器病変は認めず, 進行食道扁平上皮癌と診断し, 術前化学放射線療法を施行後, 右開胸開腹食道切除術施行. 血中CEA値は2.0ng/mlと正常化し退院となった. その後...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 5; pp. 488 - 493
Main Authors 柏原, 元, 田尻, 孝, 宮下, 正夫, 野村, 務, 牧野, 浩司, 丸山, 弘, 松谷, 毅, 勝田, 美和子, 笹島, 耕二, 山下, 精彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2004
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Summary:血中carcinoembryonic antigen (以下, CEA と略記) 値が異常高値を呈し, 再発と治療効果に対して有用な指標となった進行食道扁平上皮癌の1例を経験したので報告する. 症例は70歳の男性で, 嚥下困難を主訴に, 近医にて上部消化管内視鏡検査を施行. 胸部上部食道に腫瘍を認め, 生検にて扁平上皮癌と診断, 精査加療目的に当科紹介となった. 入院時血中CEA値は19ng/mlと高値を示した. 諸検査にて他臓器病変は認めず, 進行食道扁平上皮癌と診断し, 術前化学放射線療法を施行後, 右開胸開腹食道切除術施行. 血中CEA値は2.0ng/mlと正常化し退院となった. その後, 血中CEA値の上昇とともに右側反回神経リンパ節再発, 吻合部浸潤の診断にて4回入院し, 化学放射線療法および化学療法を施行. おのおのの入院治療後は腫瘍の縮小と血中CEA値の低下を認めたものの, 最終的には再発腫瘍の増大のため術後24か月目に死亡した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.488