機能性副甲状腺癌の1例と内分泌機能の異常について

甲状腺機能低下症を伴つた副甲状腺癌による副甲状腺機能亢進症の1例を経験し,本症の診断および随伴する内分泌機能異常について報告する.本症例の副甲状腺腫瘍の部位発見には頚部CTscanを行ない,本法が有効であつた.さらに副甲状腺機能亢進症の局在部位診断のために選択的甲状腺静脈採血法を行ない,各部位での血中PTHを生物学的活性部位を反映すると考えられるヒトの(1~34) PTH (Niall Pottsら)を用いたN-PTHのradioimmunoassayにて測定したが、従来のC-PTH測定法に比し有効であつた.一般に高Caの状態では,副甲状腺ホルモン以外の各種ホルモン分泌が亢進するといわれている...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内科学会雑誌 Vol. 69; no. 11; pp. 1474 - 1484
Main Authors 玉田, 和彦, 深瀬, 正晃, 筒泉, 正春, 門脇, 誠三, 千葉, 勉, 岸原, 道三, 岩崎, 美子, 藤田, 拓男, 岡田, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 01.11.1980
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:甲状腺機能低下症を伴つた副甲状腺癌による副甲状腺機能亢進症の1例を経験し,本症の診断および随伴する内分泌機能異常について報告する.本症例の副甲状腺腫瘍の部位発見には頚部CTscanを行ない,本法が有効であつた.さらに副甲状腺機能亢進症の局在部位診断のために選択的甲状腺静脈採血法を行ない,各部位での血中PTHを生物学的活性部位を反映すると考えられるヒトの(1~34) PTH (Niall Pottsら)を用いたN-PTHのradioimmunoassayにて測定したが、従来のC-PTH測定法に比し有効であつた.一般に高Caの状態では,副甲状腺ホルモン以外の各種ホルモン分泌が亢進するといわれている.しかし,高Ca血症を伴う原発性副甲状腺機能亢進症において各種内分泌機能を検索した報告は少ない.今回は本症に術前後の膵内分泌機能,下垂体機能を検索し興味ある結果を得た.すなわち,術前の糖負荷試験により血中insulinは二相性過剰反応を示し,血中glucagonは奇異反応が認められた.術後一過性の低Ca血症を示し一方では血中PTHは依然と高値であつたが,糖負荷試験でのinsulinの初期反応が改善した.この結果から術前のinsulinの高反応は高Ca血症に起因するものと解釈された. TRH負荷に対するprolactinは術前,術後共過剰反応を示した.これは甲状腺機能低下症によるものと考えられ,血清Caの高値とは無関係であると思われた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.69.1474