Meckel憩室に起因した高齢者の絞扼性イレウスの1例

高齢者でMeckel憩室に起因したまれな形態による絞扼のために, 小腸広範壊死 (220cm) になった症例を経験した. 症例は76歳の男性. 腹痛と嘔吐を主訴に来院した. 胆摘術後の瘢痕と圧痛, 腸蠕動音亢進から癒着性イレウスとして入院したが, 翌朝に筋性防御とショック症状を認め絞扼性イレウスと判断し開腹手術を行った. 手術所見では腸管の癒着や索状物および腸間膜欠損は認めず, 多量の血性腹水と暗赤色に変化し幾重にも絡み合った拡張腸管を認めた. 中央部の球状物を穿刺吸引して解除できた. この球状物は回腸末端から約60cmの腸間膜付着部反対側に位置し, 病理組織所見で腸管の全層を有しMeckel...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 3; pp. 372 - 376
Main Authors 吉田, 淳仁, 芳賀, 駿介, 梶原, 哲郎, 窪田, 公一, 碓井, 健文, 金, 達浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2000
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.33.372

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Summary:高齢者でMeckel憩室に起因したまれな形態による絞扼のために, 小腸広範壊死 (220cm) になった症例を経験した. 症例は76歳の男性. 腹痛と嘔吐を主訴に来院した. 胆摘術後の瘢痕と圧痛, 腸蠕動音亢進から癒着性イレウスとして入院したが, 翌朝に筋性防御とショック症状を認め絞扼性イレウスと判断し開腹手術を行った. 手術所見では腸管の癒着や索状物および腸間膜欠損は認めず, 多量の血性腹水と暗赤色に変化し幾重にも絡み合った拡張腸管を認めた. 中央部の球状物を穿刺吸引して解除できた. この球状物は回腸末端から約60cmの腸間膜付着部反対側に位置し, 病理組織所見で腸管の全層を有しMeckel憩室と診断された. 自験例はRutherfordらの腸閉塞の機序の分類にあてはまらず, 何らかの誘因で拡張したMeckel憩室が基になり頸部に腸管が巻き付き, さらに幾重にも腸管が絡み合い腸間膜基部にも虚血を生じたものと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.33.372