大腸絨毛状腫瘍成分におけるp53蛋白発現とKi-67を指標とした増殖能の検討 腺腫内癌, 進行癌と比較して

大腸絨毛状腫瘍成分の生物学的特性を検索する目的で, 絨毛状腫瘍成分を50%以上を有する腺腫10症例をp53蛋白発現とKi-67標識率を指標とする増殖能の視点から, 免疫組織化学的検討を行った. 対照として大腸腺腫内癌18例, 深達度mp以上の進行癌39例を用いた. p53蛋白発現率は絨毛状腫瘍成分の腺腫部では0%, 癌部では20%であり, 腺腫内癌の腺腫部では33%, 癌部では61%であった. Ki-67標識率では絨毛状腺腫成分はそれぞれの癌に比べ, 有意に低く, また, 腺腫内癌の腺腫部に比べても有意に低値であった. それに反し, 絨毛状癌成分では腺腫内癌の癌部とほぼ類似していた. 絨毛状腺...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 3; pp. 704 - 709
Main Authors 柿田, 章, 比企, 能樹, 池永, 誠, 笹本, 浩, 内藤, 修, 大谷, 剛正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.1996
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.29.704

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Summary:大腸絨毛状腫瘍成分の生物学的特性を検索する目的で, 絨毛状腫瘍成分を50%以上を有する腺腫10症例をp53蛋白発現とKi-67標識率を指標とする増殖能の視点から, 免疫組織化学的検討を行った. 対照として大腸腺腫内癌18例, 深達度mp以上の進行癌39例を用いた. p53蛋白発現率は絨毛状腫瘍成分の腺腫部では0%, 癌部では20%であり, 腺腫内癌の腺腫部では33%, 癌部では61%であった. Ki-67標識率では絨毛状腺腫成分はそれぞれの癌に比べ, 有意に低く, また, 腺腫内癌の腺腫部に比べても有意に低値であった. それに反し, 絨毛状癌成分では腺腫内癌の癌部とほぼ類似していた. 絨毛状腺腫成分はp53蛋白発現とKi-67標識率の視点からは, 腺腫内癌の腺腫部に比べ, より低悪性度と推定され, 癌成分では, p53蛋白に関しては, 腺腫内癌の癌部よりは低悪性度であるが, Ki-67標識率に関しては腺腫内癌の癌部に類似するものと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.29.704