右鎖骨下動脈起始異常を合併した弓部大動脈瘤の1手術治験例

背部痛を主訴に来院した81歳男性例で, CT上真性弓部大動脈瘤を認めたが, 食道後方を通る異常血管が認められ, 右鎖骨下動脈起始異常の合併が疑われた. 背部痛があったので準緊急手術とした. 術前大動脈造影で弓部分枝の状態を確認した. 手術は胸骨正中切開で順行性脳分離体外循環を用い, 弓部全置換を行った. 手術所見で瘤壁の破綻した部分が認められ, 外膜下に血腫ができており切迫破裂の状態であった. 右鎖骨下動脈は起始部の動脈硬化性変化が強かったため気管の前方を通した人工血管と食道の右側で吻合した. 術後経過は順調であった. 右鎖骨下動脈起始異常を合併した症例でも, 弓部置換は胸骨正中切開のみで安全...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 57 - 59
Main Authors 高原, 善治, 須藤, 義夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.01.2000
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.29.57

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Summary:背部痛を主訴に来院した81歳男性例で, CT上真性弓部大動脈瘤を認めたが, 食道後方を通る異常血管が認められ, 右鎖骨下動脈起始異常の合併が疑われた. 背部痛があったので準緊急手術とした. 術前大動脈造影で弓部分枝の状態を確認した. 手術は胸骨正中切開で順行性脳分離体外循環を用い, 弓部全置換を行った. 手術所見で瘤壁の破綻した部分が認められ, 外膜下に血腫ができており切迫破裂の状態であった. 右鎖骨下動脈は起始部の動脈硬化性変化が強かったため気管の前方を通した人工血管と食道の右側で吻合した. 術後経過は順調であった. 右鎖骨下動脈起始異常を合併した症例でも, 弓部置換は胸骨正中切開のみで安全に行うことができた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.29.57