教育心理学における公募型Web調査の現状と展望 公募型Web調査の利点と課題を探る

本稿は,教育心理学における公募型Web調査の利用の展望と課題について,『教育心理学研究』および「日本教育心理学会第65回総会」での研究発表を踏まえ検討した。本稿では,公募型Web調査は,Web上で公募され,本人の意志により,自身の属性等を登録し,継続的に調査に参加するものと定義する。COVID-19により対面でのデータ収集が困難になった状況もあり,教育心理学研究における公募型Web調査の使用が増加している。 公募型Web調査の定義やメリットとしては,アクセスが困難な限定された対象へのアプローチ,匿名性の確保,データ収集の効率化が挙げられる。また,課題としては,データの偏り,回答者の回答に対する...

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Published in教育心理学年報 Vol. 63; pp. 144 - 160
Main Author 脇田, 貴文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 30.03.2024
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Summary:本稿は,教育心理学における公募型Web調査の利用の展望と課題について,『教育心理学研究』および「日本教育心理学会第65回総会」での研究発表を踏まえ検討した。本稿では,公募型Web調査は,Web上で公募され,本人の意志により,自身の属性等を登録し,継続的に調査に参加するものと定義する。COVID-19により対面でのデータ収集が困難になった状況もあり,教育心理学研究における公募型Web調査の使用が増加している。 公募型Web調査の定義やメリットとしては,アクセスが困難な限定された対象へのアプローチ,匿名性の確保,データ収集の効率化が挙げられる。また,課題としては,データの偏り,回答者の回答に対するモチベーションの問題などが挙げられる。課題に対する対策として,Directed Questions Scales (DQS) や回答時間の利用が考えられている。様々な課題はあるものの,公募型Web調査のメリットとデメリットは表裏一体であり,リサーチクエスチョンに応じてその利用が適切かどうかを判断する必要があるだろう。公募型Web調査は,今後の教育心理学の研究法として定着していくものと考えられる。
ISSN:0452-9650
2186-3091
DOI:10.5926/arepj.63.144