膵癌早期診断のための病理

本邦から発信されてきた積極的な画像スクリーニングにより,これまで診断困難であった上皮内癌/高異型度PanIN,小径の膵癌が発見される時代となった.高異型度PanINの病理像は,腫大核を有する円柱状異型上皮が,核の極性の乱れと偽重層化を伴い,膵管内で低乳頭状構造を呈し増殖すると表現されるが,高異型度PanINにも形態学的なバリエーションがある.その病理学的特徴を理解することは,細胞診診断の精度向上に直結する.さらに,その病理像は,発癌機序となる分子異常パターンや膵管内での分布にも関与している可能性があり,高異型度PanINが主膵管を主座に増殖する「主膵管優勢型」と,末梢膵野の分枝膵管に限局する「...

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Published in膵臓 Vol. 39; no. 4; pp. 197 - 204
Main Authors 大森, 優子, 古川, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 30.08.2024
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Summary:本邦から発信されてきた積極的な画像スクリーニングにより,これまで診断困難であった上皮内癌/高異型度PanIN,小径の膵癌が発見される時代となった.高異型度PanINの病理像は,腫大核を有する円柱状異型上皮が,核の極性の乱れと偽重層化を伴い,膵管内で低乳頭状構造を呈し増殖すると表現されるが,高異型度PanINにも形態学的なバリエーションがある.その病理学的特徴を理解することは,細胞診診断の精度向上に直結する.さらに,その病理像は,発癌機序となる分子異常パターンや膵管内での分布にも関与している可能性があり,高異型度PanINが主膵管を主座に増殖する「主膵管優勢型」と,末梢膵野の分枝膵管に限局する「膵野型」に分類することで,早期段階の膵癌の理解が進む.本稿では,高異型度PanINとその周囲間質の病理像を概説する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.39.197