仮説検定, 効果量, そして適合度指標 SEMを用いた分散分析の理解

これまで統計学を用いた意思決定は, 仮説検定においてp値のみを参考にして仮説の採否を決定してきた。しかし, p値は, 標本サイズが大きいほど小さくなり, 標本サイズが極めて大きいときには効果の大小にかかわらず帰無仮説が棄却されるという欠点がある。近年, 統計的意思決定の過程において効果量を利用することが重要視されてきている。効果量は, 介入によってどれくらいの効果があるのかを定量的に示し, 標本サイズの大きさによらない統計量である。しかし, 一方で, 構造方程式モデリングでは, モデルのデータに対する当てはまり具合を多数の適合度指標によって診断するということをすでにやっている。そして, 仮説検...

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Published in教育心理学年報 Vol. 53; pp. 147 - 155
Main Author 荘島, 宏二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 2014
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ISSN0452-9650
2186-3091
DOI10.5926/arepj.53.147

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Summary:これまで統計学を用いた意思決定は, 仮説検定においてp値のみを参考にして仮説の採否を決定してきた。しかし, p値は, 標本サイズが大きいほど小さくなり, 標本サイズが極めて大きいときには効果の大小にかかわらず帰無仮説が棄却されるという欠点がある。近年, 統計的意思決定の過程において効果量を利用することが重要視されてきている。効果量は, 介入によってどれくらいの効果があるのかを定量的に示し, 標本サイズの大きさによらない統計量である。しかし, 一方で, 構造方程式モデリングでは, モデルのデータに対する当てはまり具合を多数の適合度指標によって診断するということをすでにやっている。そして, 仮説検定においてよく用いるt検定や分散分析は構造方程式モデリングの下位モデルである。したがって, t検定や分散分析においても多数の適合度指標を参照することで意思決定を行うことができる。本稿では, 被検者内1要因分散分析を例にとって, 適合度指標を用いたモデル選択について解説する。
ISSN:0452-9650
2186-3091
DOI:10.5926/arepj.53.147