共生社会に向かう教育制度と特別支援教育 多様性と生涯発達

特別支援に関する研究の動向には,社会や法制度が影響する。COVID-19パンデミック以降,重要性を増し普及が一気に進んだICTに関する報告,現在の学習指導要領の方向性をふまえた教科指導に関する研究は,障害種を問わず多く見られた。社会全体が多様性を包含する共生社会へ向かう中,インクルーシブな教育やユニバーサルデザインの教育に関する研究も報告されている。通級による指導が高等学校においても制度化されたことや,合理的配慮の提供が義務となりつつあることから,義務教育段階だけでなく,高等学校や大学における特別支援も取り組まれるようになるなど,生涯発達を支える方向に進みつつある。2022年12月に文部科学省...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in教育心理学年報 Vol. 63; pp. 110 - 120
Main Author 鳥居, 深雪
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 30.03.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0452-9650
2186-3091
DOI10.5926/arepj.63.110

Cover

More Information
Summary:特別支援に関する研究の動向には,社会や法制度が影響する。COVID-19パンデミック以降,重要性を増し普及が一気に進んだICTに関する報告,現在の学習指導要領の方向性をふまえた教科指導に関する研究は,障害種を問わず多く見られた。社会全体が多様性を包含する共生社会へ向かう中,インクルーシブな教育やユニバーサルデザインの教育に関する研究も報告されている。通級による指導が高等学校においても制度化されたことや,合理的配慮の提供が義務となりつつあることから,義務教育段階だけでなく,高等学校や大学における特別支援も取り組まれるようになるなど,生涯発達を支える方向に進みつつある。2022年12月に文部科学省が公表した,改訂「生徒指導提要」,「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」の結果などは,今後の特別支援の方向にも大きく影響するだろう。
ISSN:0452-9650
2186-3091
DOI:10.5926/arepj.63.110