鼻腔glomangiopericytomaの5症例―内視鏡下手術における栄養動脈処理の重要性
Glomangiopericytomaは鼻副鼻腔に発生する非常に稀な血管性腫瘍であり,境界型低悪性度腫瘍に分類される。腫瘍基部を含めた完全切除が治療の基本であり,5年生存率は90%以上とされるが,局所再発率は7–40%と報告されている。千葉大学医学部附属病院で2014年から2023年の間に治療された5症例を報告する。患者の年齢は40–70歳で,男性2名,女性3名であり,主な初発症状は鼻出血と鼻閉であった。画像検査では,全症例で造影CTおよびMRIにて強く一様に造影される腫瘍が確認され,腫瘍は全て鼻中隔に隣接し片側鼻腔を占拠していた。内視鏡下手術が全例に施行され,出血のコントロールが最も重要な課...
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Published in | 日本鼻科学会会誌 Vol. 64; no. 2; pp. 282 - 288 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本鼻科学会
2025
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Subjects | |
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Summary: | Glomangiopericytomaは鼻副鼻腔に発生する非常に稀な血管性腫瘍であり,境界型低悪性度腫瘍に分類される。腫瘍基部を含めた完全切除が治療の基本であり,5年生存率は90%以上とされるが,局所再発率は7–40%と報告されている。千葉大学医学部附属病院で2014年から2023年の間に治療された5症例を報告する。患者の年齢は40–70歳で,男性2名,女性3名であり,主な初発症状は鼻出血と鼻閉であった。画像検査では,全症例で造影CTおよびMRIにて強く一様に造影される腫瘍が確認され,腫瘍は全て鼻中隔に隣接し片側鼻腔を占拠していた。内視鏡下手術が全例に施行され,出血のコントロールが最も重要な課題であった。蝶口蓋動脈のクリッピングでは出血が抑えられなかったが,前後篩骨動脈を処理したことで出血が抑制されて腫瘍摘出が可能となった症例もあった。内視鏡下に腫瘍を摘出する術者にとって顎動脈や蝶口蓋動脈の処理は一般的な手術手技となったが,特にglomangiopericytomaの手術においては篩骨動脈が最も優位な栄養血管である場合も考えられるため,術中に篩骨動脈を処理する技術も身につけておかなければならない。また,顎動脈,蝶口蓋動脈および篩骨動脈の血管処理は様々なアプローチ法があるため,症例に応じたアプローチ法を選択できるようにしておく必要がある。 |
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ISSN: | 0910-9153 1883-7077 |
DOI: | 10.7248/jjrhi.64.282 |