胆嚢原発印環細胞癌の1例

症例は64歳の男性で,腹部大動脈瘤に対する経過観察目的のCTで胆嚢壁肥厚を認めた.胆嚢腺筋腫症を疑ったが,胆嚢癌を否定できず手術を行った.腹腔鏡で観察したところ,胆嚢は慢性胆嚢炎様であるが肝床への浸潤所見を認め胆嚢癌と診断し開腹移行した.肝床切除,肝外胆管切除,D2リンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見にて印環細胞様の癌細胞が胆嚢壁全体に増殖し,中分化と低分化腺癌もわずかに認めた.Rokitansky-Ashoff洞にCarcinoma in situを認め胆嚢原発と診断した.No.16リンパ節を含む多数のリンパ節転移を認めたため,術後ゲムシタビン+シスプラチンによる補助化学療法を6カ月行っ...

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Published in胆道 Vol. 38; no. 4; pp. 648 - 655
Main Authors 上田, 翔, 深見, 保之, 白井, 信太郎, 倉橋, 岳宏, 原田, 正晴, 鈴木, 健太, 松村, 卓樹, 大澤, 高陽, 齊藤, 卓也, 小松, 俊一郎, 金子, 健一朗, 佐野, 力
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.10.2024
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Summary:症例は64歳の男性で,腹部大動脈瘤に対する経過観察目的のCTで胆嚢壁肥厚を認めた.胆嚢腺筋腫症を疑ったが,胆嚢癌を否定できず手術を行った.腹腔鏡で観察したところ,胆嚢は慢性胆嚢炎様であるが肝床への浸潤所見を認め胆嚢癌と診断し開腹移行した.肝床切除,肝外胆管切除,D2リンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見にて印環細胞様の癌細胞が胆嚢壁全体に増殖し,中分化と低分化腺癌もわずかに認めた.Rokitansky-Ashoff洞にCarcinoma in situを認め胆嚢原発と診断した.No.16リンパ節を含む多数のリンパ節転移を認めたため,術後ゲムシタビン+シスプラチンによる補助化学療法を6カ月行った.術後1年経過したところで多発転移を認め化学療法を導入したが,術後1年6カ月で原病死された.胆嚢原発印環細胞癌はまれで,切除の報告例は少ない.切除例を経験したため文献的考察を加え報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.38.648