鼻科学会基礎研究ハンズオンセミナー開催報告(第10報)

現在の医療において未解決の病態に対応するため,基礎研究の重要性が一層高まっている。日本鼻科学会は,臨床医が疾患に対する深い理解を涵養するとともに,基礎研究に関する知識および技術を共有する場として,2014年より毎年「鼻科基礎ハンズオンセミナー」を開催している。本稿では,2023年9月28日に三重県津市において開催された第10回セミナーの概要について報告する。本セミナーには687名が参加し,対面形式の実技講習およびビデオ講習が実施された。講習では,外傷性嗅覚障害モデルを用いた嗅神経再生の評価,サイトカイン濃度測定法,ならびに組織切片作製および染色法など,多岐にわたるテーマが取り扱われ,参加者に基...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 64; no. 2; pp. 214 - 218
Main Authors 西田, 幸平, 津田, 武, 武田, 和也, 嶋村, 晃宏, 福井, 研太, 意元, 義政, 尹, 泰貴, 清水, 猛史, 原渕, 保明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2025
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Summary:現在の医療において未解決の病態に対応するため,基礎研究の重要性が一層高まっている。日本鼻科学会は,臨床医が疾患に対する深い理解を涵養するとともに,基礎研究に関する知識および技術を共有する場として,2014年より毎年「鼻科基礎ハンズオンセミナー」を開催している。本稿では,2023年9月28日に三重県津市において開催された第10回セミナーの概要について報告する。本セミナーには687名が参加し,対面形式の実技講習およびビデオ講習が実施された。講習では,外傷性嗅覚障害モデルを用いた嗅神経再生の評価,サイトカイン濃度測定法,ならびに組織切片作製および染色法など,多岐にわたるテーマが取り扱われ,参加者に基礎研究の技術的知識を深める機会が提供された。また,過去のセミナーで作成されたビデオライブラリーを活用することで,より多くの基礎研究の内容を反復して学習することが可能となった。セミナー終了後に実施されたアンケート結果からは,参加者が基礎研究の重要性を改めて認識するとともに,今後の研究活動への意欲を高めたことが示唆された。本セミナーは,耳鼻咽喉科領域における基礎研究の推進および研究者間の連携強化を図る場として,極めて重要な意義を有する取り組みと考えられる。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.64.214