スポーツチャンバラを教材とした大学体育授業は共感性を向上させるか 球技科目及び講義科目受講者との比較による事例研究

本研究は,スポーツチャンバラを教材とした大学体育授業が,受講者の共感性を向上させるという仮説を検証することを目的とした.対象者は,2023年度前学期に日本大学文理学部で開講された健康・スポーツ教育実習(スポーツチャンバラ)を受講した学生(以下「スポチャン群」と略す)と,健康・スポーツ教育実習の球技種目を受講した学生(以下「球技群」と略す)と,健康・スポーツ教育論を受講した学生(以下「講義群」と略す)とした.本研究においては,各群の学生が獲得した成果を検証するために,「多次元共感性尺度10項目短縮版(以下「MES-SF」と略す)」を質問紙として使用した.調査時期は,第1回目と第15回目の授業後と...

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Published in大学体育スポーツ学研究 Vol. 22; pp. 59 - 69
Main Authors 阿部 剣征, 川井 良介, 菅野 慎太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 全国大学体育連合 2025
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ISSN2434-7957
DOI10.20723/jpeshe.22.0_59

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Summary:本研究は,スポーツチャンバラを教材とした大学体育授業が,受講者の共感性を向上させるという仮説を検証することを目的とした.対象者は,2023年度前学期に日本大学文理学部で開講された健康・スポーツ教育実習(スポーツチャンバラ)を受講した学生(以下「スポチャン群」と略す)と,健康・スポーツ教育実習の球技種目を受講した学生(以下「球技群」と略す)と,健康・スポーツ教育論を受講した学生(以下「講義群」と略す)とした.本研究においては,各群の学生が獲得した成果を検証するために,「多次元共感性尺度10項目短縮版(以下「MES-SF」と略す)」を質問紙として使用した.調査時期は,第1回目と第15回目の授業後とした.そして,回答に不備のなかったスポチャン群の学生38名と,球技群111名,講義群の学生63名を対象者とした.統計分析は,3つの授業群を対象者間要因,2つの時間を対象者内要因とする2要因分散分析を用いた.その結果,MES-SFの他者指向的反応,視点取得という因子が,スポチャン群において授業前よりも授業後で有意に向上した.以上のことから,スポーツチャンバラの授業を受講することで,相手の気持ちを考えることや,相手の視点に立って考えるといった共感性が向上することが示唆された.
ISSN:2434-7957
DOI:10.20723/jpeshe.22.0_59