慢性腎臓病:新しい概念と食事療法基準

「はじめに」末期慢性腎不全により, 維持透析や腎臓移植を必要とする患者数は世界的に増加してきている. これは国民の健康の見地とともに医療経済上でも大きな問題となっている. 表1には我が国で2006年度に新規に維持透析に導入となった患者の原疾患を示すが, これらはほとんど全て慢性的に進行した腎疾患といえる1). このことから最近では, このような慢性の腎疾患群全体を包括して単純に慢性腎臓病(CKD)と呼ぶことにより, 早期発見と管理強化が目指されているところである2). また, CKD患者では腎機能低下が進んでいればいるほど, 心血管疾患の発症リスクが高いことが判明している. CKDは単に透析や...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 65; no. 6; pp. 307 - 310
Main Author 中尾俊之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養改善学会 01.12.2007
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ISSN0021-5147

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Summary:「はじめに」末期慢性腎不全により, 維持透析や腎臓移植を必要とする患者数は世界的に増加してきている. これは国民の健康の見地とともに医療経済上でも大きな問題となっている. 表1には我が国で2006年度に新規に維持透析に導入となった患者の原疾患を示すが, これらはほとんど全て慢性的に進行した腎疾患といえる1). このことから最近では, このような慢性の腎疾患群全体を包括して単純に慢性腎臓病(CKD)と呼ぶことにより, 早期発見と管理強化が目指されているところである2). また, CKD患者では腎機能低下が進んでいればいるほど, 心血管疾患の発症リスクが高いことが判明している. CKDは単に透析や移植が必要となるリスクのみならず, 心血管疾患の発症や死亡増加のリスクを有することが認識され, 注意が喚起されている. 現代のCKD治療においては, 多くの薬物療法が行われるようになってきており一定の効果をあげている.
ISSN:0021-5147