肝原発扁平上皮癌の1例

肝原発扁平上皮癌の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例は73歳の男性.糖尿病・高血圧で当院通院中, 上腹部痛にて胃内視鏡検査施行し胃粘膜下腫瘍を認め精査目的に入院した. 理学所見, 血液検査では特記すべき異常は認められなかった. 胃内視鏡検査時の生検結果はグループIであった. CTでは肝外側区と胃小弯前壁間に直径7cmの不整形の腫瘤を認め, また, 下大静脈欠損も認めた. 血管造影検査では左胃動脈・短胃動脈・後胃動脈より腫瘍血管が認められた. 以上より胃粘膜下腫瘍+肝浸潤の診断で胃全摘+肝外側区部分切除術を行った. 病理組織学的には肝扁平上皮癌であった. 今回, 肝原発...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 27 - 31
Main Authors 仲, 昌彦, 中村, 貴久, 大森, 一吉, 南田, 猛, 品田, 佳秀, 渡辺, 佳明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1999
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Summary:肝原発扁平上皮癌の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例は73歳の男性.糖尿病・高血圧で当院通院中, 上腹部痛にて胃内視鏡検査施行し胃粘膜下腫瘍を認め精査目的に入院した. 理学所見, 血液検査では特記すべき異常は認められなかった. 胃内視鏡検査時の生検結果はグループIであった. CTでは肝外側区と胃小弯前壁間に直径7cmの不整形の腫瘤を認め, また, 下大静脈欠損も認めた. 血管造影検査では左胃動脈・短胃動脈・後胃動脈より腫瘍血管が認められた. 以上より胃粘膜下腫瘍+肝浸潤の診断で胃全摘+肝外側区部分切除術を行った. 病理組織学的には肝扁平上皮癌であった. 今回, 肝原発を積極的に示唆する扁平上皮化生は見られなかったが, 術後, 転移性肝癌の可能性も考慮し全身検索を行い, 他に原発巣となりうる病変が認められなかったことより, 肝原発扁平上皮癌と診断した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.32.27