遺伝子検査による日本海裂頭条虫, マンソン孤虫, 無鉤条虫の同定

「I. はじめに」条虫類は全て寄生生活を営み, その生活環を維持するために様々な動物を中間宿主, 終宿主として利用している. 条虫は肉眼的に細長い1本の紐状に見えるが, その構造の違いにより虫体の頭部から, 頭節, 未熟体節, 成熟体節, 受胎体節と呼ばれる体節の連なり(ストロビラ)で成っている[1]. 成虫の大きさや体節数は条虫の種類により異なり, 単包条虫Echinococcus granulosusでは3~6mm(体節数3個), 日本海裂頭条虫Diphyllobothrium nihonkaienseでは5~10m(3,000~4,000個)に及ぶ[1]. 公衆衛生学的に重要な条虫は擬葉...

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Published in生活衛生 Vol. 53; no. 3; pp. 169 - 176
Main Authors 阿部仁一郎, 木俣勲, 宇仁茂彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大阪生活衛生協会 2009
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ISSN0582-4176

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Summary:「I. はじめに」条虫類は全て寄生生活を営み, その生活環を維持するために様々な動物を中間宿主, 終宿主として利用している. 条虫は肉眼的に細長い1本の紐状に見えるが, その構造の違いにより虫体の頭部から, 頭節, 未熟体節, 成熟体節, 受胎体節と呼ばれる体節の連なり(ストロビラ)で成っている[1]. 成虫の大きさや体節数は条虫の種類により異なり, 単包条虫Echinococcus granulosusでは3~6mm(体節数3個), 日本海裂頭条虫Diphyllobothrium nihonkaienseでは5~10m(3,000~4,000個)に及ぶ[1]. 公衆衛生学的に重要な条虫は擬葉目と円葉目に含まれ, 前目にはサケ・マス類を中間宿主とする日本海裂頭条虫や, カタクチイワシ, マイワシ, サバなどが中間宿主として疑われている大複殖門条虫Diplogonoporus grandis, カエル, ヘビ, ニワトリ, イノシシの生食や感染したケンミジンコの含まれた水を飲むことで感染するマンソン裂頭条虫Spirometra erinaceieuropaei(この条虫の終宿主はイヌやネコで, ヒトは中間宿主となるため幼虫として寄生する)などが含まれる[1].
ISSN:0582-4176